YouTubeオーディオ広告とは?特徴や活用事例も

Googleは2020年11月より海外向けにオーディオ広告「YouTube Audio」を提供しており、日本では2021年2月からベータ版の提供が始まりました。

YouTubeでのオーディオ広告は始まったばかりですが、オーディオ広告ならではの特徴やそのもたらす広告効果への関心は高くなっています。
日本より先に展開された海外では、YouTubeオーディオ広告による成果の報告事例もあります。

今回は、マーケティングに役立つYouTubeオーディオ広告の特徴や効果、事例などをご紹介します。

YouTubeオーディオ広告とは?

YouTubeオーディオ広告とはどのような広告なのか、そしてなぜ今、音声広告が注目されているのかその背景などについて見てみましょう。

オーディオ広告とは

オーディオ広告とは音声のみの広告のことで「オーディオアド」や「デジタル音声広告」などとも言われます。
ひと昔前の音声広告と言えば「ラジオ広告」のことを指しましたが、オーディオ広告はラジオ以外の媒体にも広く展開されており、ラジオだけで使われる広告ではなくなってきています。

YouTubeのオーディオ広告は、動画配信プラットフォームの「YouTube」と音楽に特化した「YouTube Music」に出稿が可能です。
出稿は動画形式ですが、ビジュアルは主に静止画像や静止画像を使った動画、単純なアニメーションで構成されることになり、音源がメインのため動画広告よりも比較的簡単に制作できます。

動画を配信するプラットフォームなのに、何故音声のみの広告を配信するのか不思議に思われるかもしれません。

その理由には、YouTubeやYouTube Musicの視聴者の中には通勤途中や食事の支度中、ランニング中などに「ながら聴き」をしている人が一定数存在することが挙げられます。
最近では自宅にいる時間が増え、仕事や勉強をしながら聴いている人も多いでしょう。

このようなバックグラウンド再生を利用する視聴者向けには、音声のみのアプローチでも効果がありプロモーションに適しているからです。

オーディオ広告の市場規模の拡大

オーディオ広告の市場規模は今後拡大すると予測されています。

その背景には、デジタルによるラジオ番組や音楽を配信するサービスが増え、ワイヤレスイヤホンのような機能性が高いツールの普及による後押しもあって、音声コンテンツを利用する人が増えていることが挙げられます。

以下の画像はICT総研によって2020年に調査された、定額制音楽配信サービスの利用者数の需要予測を調査したグラフです。利用者数が順調に伸びていることが分かります。


(参照:ICT総研「2020年 定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査」

音声コンテンツの利用者が増えていることに伴い、音声広告の規模も大きくなっています。
以下のグラフは、2019年~2025年までのオーディオ広告市場規模推計を予測したものです。
2020年に市場規模が16億円だったものが、2025年には420億円にまで規模が拡大すると予測されています。


(参照:デジタルインファクト調べ「デジタル音声広告の市場規模は2020年に16億円、2025年には420億円に」

YouTubeオーディオ広告の特徴

オーディオ広告市場は今後伸びると注目されています。YouTubeで開始されたこともあり、改めて注目している企業も多いと思われます。
一体YouTubeオーディオ広告にはどのような特徴があるのでしょうか。

入稿フォーマット

YouTubeオーディオ広告は画像と音声を一体にし、通常の動画と同じ方法でYouTubeにアップロードする必要があります。

アップする動画の仕様は、以下の画像を参考にしてください。


(参照:YouTube オーディオ広告を作成する(ベータ版)

画面の縦横比率であるアスペクト比は16:9が推奨されています。
Googleの営業担当者にリクエストする必要があるのは「コンパニオンバナー」と「行動を促すフレーズ」になります。

コンパニオンバナーとは、TrueViewインストリーム広告またはバンパー広告を伴うクリック可能なサムネイル画像で、YouTubeのページ上では広告の隣(PCではページ右上)に表示されます。

行動を促すフレーズとは、動画広告に対してクリック可能なボタンと見出しを設定することです。見出しは全角7文字まで、ボタンは全角5文字まで入れることができます。

ただし、ヘルスケアや医薬品、アルコール、ギャンブルなどのようなデリケートなカテゴリの商品やサービスは、ベータ版の期間中はオーディオ広告を作成できませんので注意してください。

また、必ずGoogle広告のポリシーを遵守した広告にする必要があります。オーディオ広告を制作する前に確認しておくと良いでしょう。

詳細はこちら → Google 広告のポリシー

YouTube以外の媒体へ配信ができる

オーディオ広告は、YouTube以外にも以下のような媒体への広告配信に使えます。

  • Podcast
  • Spotify
  • radiko
  • Display&Video360

これらの媒体は、ターゲットを絞って広告配信を行う「ターゲティング機能」があることがラジオ広告との大きな違いになります。ターゲティングの機能については後述します。

YouTubeオーディオ広告の強み

YouTubeオーディオ広告には、最適なプロモーションを行うために役立つターゲティング機能やオーディオ広告ならではの効果があります。

ターゲティングが可能

YouTubeオーディオ広告や前述で紹介した他の媒体も広告が配信される対象者を細かく設定することが可能です。
広告主は、不特定多数に流すよりも効果的にターゲット層に広告を配信でき、商材やキャンペーンに最適なプロモーションを行うことができます。

以下はターゲティング設定の一例になります。

  • 視聴者の属性(年齢や性別、子供の有無、世帯収入など)
  • 興味関心(趣味、ライフイベント、ライフスタイル、習慣など)
  • 使用しているデバイス(PC、スマホ、タブレットなど)
  • リマーケティング(サイトに訪れたことがある、商材を購入や利用したことがある)

しかし、ターゲットを細かく設定し配信される対象が狭くなりすぎてしまい効果が得られにくくなってしまうこともありますので注意しましょう。

広告の効果検証が可能

YouTubeオーディオ広告では、配信後の「ブランド効果測定」によって広告効果を測定し、商材やブランドに対して持つ視聴者のイメージに広告が与えた影響を把握することが可能です。

従来の動画広告で効果検証を行う際に重視されるのはクリック数やインプレッション数、視聴回数などの指標です。
しかし、ブランド効果測定では広告想起やブランド認知度、比較検討した人の割合などの指標を重視します。

指標によって広告の効果を検証できると、マーケティング目標に合わせたキャンペーンの調整や改善に繋げることができます。
ブランド効果測定の調査の回答数に応じて、以下の集計指標によりブランド効果を確認します。

  • 効果があったユーザー数
  • 効果があったユーザーあたりの費用
  • 絶対的ブランドリフト
  • 余力に関するブランド効果測定
  • 相対的ブランドリフト
  • コントロールグループの肯定的回答の割合
  • 広告表示グループの肯定的回答の割合

(参照:Google広告ヘルプ ブランド効果測定について

ながら聴きはエンゲージメントが高い

イギリスBBCの調査によると、Podcastリスナーの94%はながら聴きをしており、この傾聴行動はエンゲージメントを高めるという結果が出ているそうです。

ながら聴きのように、何かアクティブに行動しているグループのエンゲージメントは18%上昇、感情の激しさは40%上昇、Podcastの長期記憶は22%上昇になるなど、すべての測定値で高いスコアを獲得しました。

利用者がアクティブになると、ブランドへの影響はより高くなる傾向にあると言えます。
(参照:Audio:Activated – new BBC Global News study reveals unique effectiveness of branded podcasts

完全聴取率が高い

完全聴取率とは、広告を最初から最後まで聴いてくれた人の割合のことです。
オーディオ広告そのものが本来、広告がスキップされにくく完全聴取率が高い傾向にあります。
例えばradikoのオーディオ広告では、実績平均で見た完全聴取率は98%と非常に高い数値になっています。
(参照:otonal

YouTubeの動画広告の場合は、画面を注視している途中で広告が表示されると視聴者はスキップ操作をしたくなります。
しかし、ながら聴きやバックグラウンド再生をしている視聴者の場合は、広告をスキップするためにわざわざ画面を操作することは少ないはずです。

そのためオーディオ広告は、視聴者に内容を最後まで聞いてもらえる可能性が高くなります。

YouTubeオーディオ広告の活用事例

日本ではベータ版がリリースされてからあまり時間が経っていないですが、海外ではテスト段階からオーディオ広告の活用事例があります。
海外の活用事例ですが制作方法や広告効果などの参考にしてみてください。

Google Fi:A Different kind of Phone plan (15s)

こちらはGoogleがオーディオ広告の例として紹介しているクリエイティブです。

Googleはオーディオ広告を制作する際に、以下のことをヒントにするように促しており、クリエイティブの参考にしてみるのも良いでしょう。

  • 音声を重視する
  • 一貫した口調とテンポを保つ
  • 会話調にする
  • 行動を促すフレーズを含める

(参照:YouTube オーディオ広告を作成する(ベータ版)

Shutterefly:Anything Flys – Photo Book (30s)

Shutterflyはアメリカにある写真製品および画像共有会社で、こちらのオーディオ広告ではフォトブックサービスの紹介を行っています。

ターゲティングなどを利用し、関心のありそうな層にオーディオ広告の配信を行った結果、広告想起が14%上昇、ターゲット視聴者の好意は2%上昇しました。

スペイン自動車メーカー SEAT

スペインの自動車メーカーであるSEATでは、既存のオーディオファイルをYouTubeのオーディオ広告として再利用した事例があります。

YouTubeのターゲティング機能を利用し、テクノロジーやソーシャルメディアに親近感を持つ視聴者や、ハッチバックタイプの車を購入する意欲の強い視聴者にリーチしました。

結果、SEATは広告想起率を21%向上させ、ブランドへの関心を高めることができたのだそうです。
(参照:Think with Google「マーケターが音楽業界の最新の変革に注意を払うべき理由」

まとめ

YouTubeオーディオ広告は、動画広告とはまた異なる方法で商材やサービスのアプローチが可能です。

記事内で紹介した媒体以外にも広告出稿が可能になるサービスが増えていくと予想されており、今後はさらにオーディオ広告市場は拡大していくと思われます。

プロモーションを行う際の選択肢のひとつにオーディオ広告を加えてみてはいかがでしょうか。

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