YouTube切り抜き動画とは?流行っている理由などを解説

最近、YouTubeでも頻繁に見かけるようになった切り抜き動画をご存知でしょうか。
切り抜き動画といえば2ちゃんねるの創始者である「ひろゆき」がよく話題に登場しますが、彼がきっかけで切り抜き動画はブームになりつつあります。

自分のチャンネルでも切り抜き動画を作ってみようと思っても、著作権に関することなど不安な点もあるでしょう。

今回は、YouTubeで切り抜き動画が流行っている理由やトレンド、著作権などについてご紹介します。

YouTube切り抜き動画とは

切り抜き動画とは、一体どのような動画を指すのでしょうか。通常の動画と違う特徴や事例をいくつか見てみましょう。

YouTube切り抜き動画の特徴

切り抜き動画とは、ライブ配信や長尺動画の中で特に面白かった箇所などを切り抜いて、編集を加えた動画のことです。
元々ライブ配信が多いVtuber界で頻繁に活用されていました。

ライブ配信は、アーカイブに残らないことやアーカイブがあっても編集されていない上に長尺になりやすい点があります。
時間が無くても見所だけを掻い摘んで見ることができる、いわゆる切り抜き動画が増えていきました。
切り抜きの対象がVtuber以外にも広がり、ここ最近では特に目立って増えています。

以下の画像は切り抜き動画の投稿本数の変化です。
赤枠のデータを比較して見てみると、1年で1日の切り抜き動画の投稿本数は約3倍増加していることが分かります。

(kamui tracker調べ)

切り抜き動画の種類は主に本人投稿タイプ、公認チャンネル、非公認チャンネルの3つに分けられます。

本人が投稿する動画の事例

本人投稿タイプは、自身のチャンネルで投稿した動画を再編集し、同じチャンネルに投稿するものです。
上記のような動画本数の多いチャンネルやゲーム実況チャンネルなどに見られます。

動画の内容は、名場面集や総集編といった過去掲載した動画の中で、面白かった場面や関連性のあるシーンをピックアップしたものなどさまざまです。

時節の変わり目やシリーズ作の節目、投稿頻度を落としたくない時などに使うことがあります。

<はじめしゃちょー 2020年総集編>

<みんなで激闘!マリオメーカー大戦【おもしろ名場面集 ~戦いの終わり~】>

本人公認の切り抜きチャンネルの事例

切り抜きチャンネルには、投稿元とは関係のない第三者が動画を編集し、その第三者のチャンネルで切り抜き動画を掲載するものがあります。
本人公認の切り抜きチャンネルとは、第三者によるチャンネルで投稿することを投稿元から承諾を得ており、収益の分配や掲載条件などを事前に本人と交渉済みであるものです。

特に、冒頭でも紹介したひろゆきの切り抜きチャンネルの数は非常に多いです。その他にはVtuberのライブ配信動画やゲーム実況チャンネルなどがあります。

<ひろゆきの部屋【切り抜き】>

<加藤純一切り抜き集 >

本人非公認の切り抜きチャンネルの事例

非公認チャンネルも投稿元とは関係のない第三者が動画を編集し、その第三者のチャンネルで切り抜き動画を掲載しますが、投稿元の承諾を得ていないことが多いものです。
中には概要欄などに「非公式」や「黙認」と入れ、本人が運営していないことを明記しているものもあります。

チャンネルによっては投稿元に許可申請中という場合がありますが、最近では申請していない非公認系のチャンネルが増加傾向にあります。

<武井壮のマインド【ライブ切り抜き】>

<あっさりしょこDBD切り抜き_非公認>

YouTube切り抜き動画が流行っている理由

切り抜き動画が増え続けているのは視聴者の需要があるからですが、まだまだ今後も増えそうな理由は他にもあります。
ここからは、切り抜き動画が流行っている理由についてご紹介します。

ジャンルの規模拡大に繋がる

切り抜きも含めて投稿元に関する動画が一つでも再生されると、視聴ページの関連動画にたくさん表示され、興味のある視聴者はさらに視聴を続けてくれます。

視聴者が投稿元の動画や関連する切り抜き動画を多く見てくれると、関連動画などに掲載されることで双方のチャンネルで視聴回数や再生時間が上がり、YouTubeによるコンテンツの評価が上がることに繋がります。

また長尺動画の切り抜きでは、特定のトピックを抜粋して作られることが多く、視聴者にとって見やすくすることで視聴回数も上がります。

例えば以下のメンタリストDaiGoの本人動画のように、途中でDaiGoがひろゆきについて言及していますが、投稿元のサムネイルやタイトルなどにその内容が表示されることはありません。
しかし、切り抜き動画ならその部分だけをピックアップして、一つの動画にすることが可能です。ひろゆきに興味がある人も視聴してくれる可能性が広がります。

切り抜き動画は、関連するジャンル全体の規模拡大に繋がると考えられます。

<DaiGo本人の動画>

<切り抜き動画>

広告収益が本人と折半になる

YouTubeでは「Content ID」といって、著作権者がYouTube上の作品保護や管理を行うことができるシステムがあります。

Content IDは作品のコピーを識別するためのYouTube独自のシステムです。
登録しておけば、アップロードされた動画は著作権者が提出したファイルのデータベースと照合され、著作権者の作品と一致するかチェックされます。

もし一致するものがあった場合には、該当の動画に対して「Content IDの申し立て」が自動的に行われます。
Content IDの申し立てが行われた場合、著作権者は以下の行動を選ぶことができます。

  1. 該当の動画をブロックする
  2. 該当の動画をYouTube上に維持して広告とともに視聴できるようにし、著作権者が収益を得る

(参照:YouTubeヘルプ Content ID の申し立てとは

YouTubeによるとほとんどの著作権者は2番の選択肢を選ぶのだそうです。

ひろゆきもこのContent IDを利用し、切り抜き動画チャンネルの広告収益を折半しているそうです。
切り抜き動画が流行っている大きな理由は、投稿者と切り抜きチャンネル側のお互いがwin-winの関係になれるからでしょう。

元動画より視聴される可能性もある

切り抜き動画は元の動画よりも尺を短くし、字幕を付けて分かりやすくしているケースが多いので、視聴しやすいと感じる人もいます。

動画を編集する工程も大変なので、投稿元としてはそういった作業をやってくれた上に広告収益ももらえるので、本人も投稿することを許可している人が多いです。

YouTuberの中にも切り抜かれることを見越して、動画投稿よりもライブ配信などを増やしている人もいますし、中には動画内で「ここ切り抜いてください」と自ら発言する人もいます。

切り抜き動画のトレンド

今後の切り抜き動画のトレンドはどのように変化していくのでしょうか。
人気YouTuberの中でも切り抜き動画への対応の仕方は人それぞれ違うようです。

公認するYouTuberが増加している

最近では、さまざまな有名YouTuberが切り抜き動画に許可を出す流れになってきており、自身のチャンネルで告知動画を投稿する人もいます。

例えば、380万人を超えるチャンネル登録者数を持つ中田敦彦も切り抜き動画を解禁しました。
中田敦彦の動画は、すでに要所で字幕などが入り、まとまった内容で作り込まれているため、初めて切り抜き動画を作る方には難易度が高いチャンネルかもしれません。

以下の動画では「中田を切り抜く才能がすごい人が表れるかもしれない」との発言がありますが、数ある切り抜きチャンネルの中で個性を発揮し成長させていくには、何かに焦点を当てて制作していくことも有効な手段でしょう。

中には反対を表明するYouTuberも

切り抜きや転載は禁止にするなど、切り抜き動画に反対意見を持つYouTuberもいます。
反対の意見の内容には、他人のコンテンツで収益化はおかしいというものや一部を公認したとしても非公認で作る人が増えるので管理しきれないからというものなどがあります。

切り抜かれる側のYouTuberからすると、一つ一つの非公認チャンネルに対応するのが大変なので、まとめて禁止にするという方法を取ることもあるでしょう。

今後は切り抜き動画の増加に伴い、掲載元と切り抜きチャンネルの間やプラットフォーム間で、著作権や収益などのトラブルが発生する可能性がありますので、視野に入れておくと良いでしょう。

切り抜き動画の今後の予想

今後もまだまだ切り抜き動画チャンネルが増えていくと予想されますが、その中でも特に編集スキルが高い人や切り口が面白い人に注目が集まるようになっていくのではないでしょうか。

切り抜き職人として注目を集めることができると、YouTuber事務所などにスカウトされる可能性も充分に有り得ます。
現状、曖昧になっている収益の規定や完成度の高い切り抜き技術をブランド化させ、クリエイターとの仲介などを事務所が行ってくれるようになることも考えられます。

切り抜き動画を利用して、YouTubeで活躍できる新しい道が開ける可能性があります。

YouTube切り抜き動画の著作権について

YouTubeで切り抜き動画をアップするには、著作権侵害に当たらないか心配に思っている方も多いでしょう。切り抜き動画の著作権はどうなっているのでしょうか。

無許可の掲載は著作権侵害にあたる

掲載元や著作権者に無断で投稿していた場合は、著作権侵害に該当します。
前述した「Content ID」のシステムを使うなどして、著作権者と合意の上で切り抜きチャンネルを運営していない場合は、著作権侵害に当たる可能性があります。

もし著作権侵害があったと認められる場合、著作権者はYouTubeに申し立てを起こすことが可能です。

切り抜き動画チャンネルに著作権侵害の申し立てが行われると、収益化の停止や動画の削除、アカウントの削除になることがあります。

さらに著作権を侵害された人は、著作権法に基づいて訴えを起こすことができるので、最悪の場合は裁判に発展することになるかもしれません。

YouTuberや事務所によっては、許可を取らなくても良いと公表している場合もありますが、切り抜き動画チャンネルを作る前に承諾が必要なのか確認し、必要であれば必ず申請するようにしましょう。

事務所の利用規約を確認する

Vtuber事務所では、二次創作に関するガイドラインを規定しているところがあります。

例えばVtuber事務所ホロライブの規約では、同人活動や趣味の範囲での二次創作を行うには問題ないですが、営利目的としての創作は禁止になっています。
(参照:ホロライブ 二次創作ガイドライン

Vtuberの所属する事務所によって規定が異なるので、ガイドラインなどは必ず確認するようにしてください。

異なるプラットフォームからの動画利用は注意

動画共有プラットフォームはYouTubeの他にも、InstagramのIGTVやニコニコ動画、Twitchなどがあります。
現状YouTube上に存在する切り抜き動画の中には、異なるプラットフォームの動画を加工しているものがありますが、実情はいずれもグレーゾーンです。

なかにはTwitchのように、異なるプラットフォームを跨いでの動画利用を禁止してるケースがあり、プラットフォーム内サービスの改変や二次的作品の制作を禁止しています。

投稿元クリエイターに承諾を得ていたとしても、プラットフォームの規定違反になってしまうケースがありますので注意しましょう。

規約を守らない切り抜きチャンネルが増えすぎるなどした場合、規制が厳しくなる可能性もないとは言い切れません。

まとめ

最近、動画投稿数が非常に増えている切り抜き動画の流行っている理由や著作権についてご紹介しました。

切り抜き動画は、投稿元にとっても切り抜きチャンネルにとっても、そして視聴者にとっても良い部分があります。
投稿元とは違った新たな切り口の動画から、YouTubeの可能性が開けることもあるかもしれません。

切り抜き動画に挑戦してみたい方は、著作権侵害には充分注意して制作してください。

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