YouTube広告のターゲティング方法とは?費用対効果を上げるポイント
目次
YouTubeで広告を運用する際、ターゲティングの設定で広告効果が大きく変わることがあります。
「YouTube広告の効果が落ちてきた」
「YouTube広告で成果が思うように上がらない」
と感じている場合は、ターゲティングの設定を見直してみると良いかもしれません。
YouTubeのターゲティングには「オーディエンスターゲティング」と「コンテンツターゲティング」の2つの設定方法があります。
それぞれのターゲティングを活用し、適切な視聴者に効率良く配信されるように設定する必要があります。
では適切な視聴者に配信し成果に繋げるためには、どのようにターゲティングを活用すれば良いのでしょうか。
今回は、YouTube広告についてターゲティング方法と使い分け、費用対効果を上げるターゲティングのポイント、ターゲティングの注意点、成功事例をご紹介します。
YouTube広告とは
YouTube広告とは動画の視聴前後や途中、トップページ、検索結果ページなどで表示される広告のことです。バナー広告を配信することもできますが、基本的に動画広告のことを指します。
日本国内のYouTube利用者は、約6,500万人の月間アクティブユーザーがおり、若年層だけではなく幅広い年代が利用しています。
(参考:Think with Google 月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に)
他の動画プラットフォームに比べると利用者数と利用者層がともに厚いため、動画広告を配信するならYouTubeを活用するのが良いでしょう。
YouTube広告は種類も豊富に用意されており、詳細にターゲットを設定することができ、小規模な予算からでも配信することが可能です。
費用は視聴者が30秒以上視聴したりバナーをクリックしたりと、動画広告に対して指定のアクションを起こした場合にのみ発生するので、広告予算を有効に活用することができます。
YouTube広告の種類については、こちらの記事で紹介しています。
YouTube動画広告の種類と特徴やメリット | YouTube総合情報メディア かむなび
動画で宣伝したいという需要が増え、YouTubeがプロモーションの手段として注目されています。そのためYouTubeで商品やサービスの認知を向上させたい、販売促進に活用したい人や企業が増加しています。 その証拠に2020年の動画広告の市場規模は2,954億円に達する見込みで、2019年の2,592億円からすると前年比114%になります。今後5年間でも右肩上がりの成長が見込まれています。 …
YouTubeオーディオ広告とは?特徴や活用事例も | YouTube総合情報メディア かむなび
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YouTube広告のターゲティング方法と使い分け
前述したように、YouTube広告のターゲティング方法には「オーディエンスターゲティング」と「コンテンツターゲティング」の2種類があります。
それぞれの特徴と使い分け方をご紹介します。
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングとは、広告配信先を「人」を軸に設定できるターゲティングです。
視聴者の登録情報や閲覧履歴などから、特定のジャンルに興味関心を持つ適切な配信先を選定します。
設定は、以下の項目で選択することができます。
(参照:YouTubeヘルプ 動画キャンペーンのターゲティングについて)
「アフィニティカテゴリ」では、スポーツやテクノロジー、ニュースなど、視聴者の興味関心についてGoogleが用意した項目から選びます。
「アフィニティカテゴリ」のほかにも、「購買意欲の高いオーディエンス」にも選択できる項目がたくさんあり、色々な視聴者に広くリーチすることが可能です。
「動画リマーケティング」、「ウェブサイトおよびアプリ リマーケティング」、「類似ユーザー」の項目では、配信先を少なくすることになりますが、すでに自社に関心がある視聴者を配信対象に設定できます。
オーディエンスターゲティングは、確実に収益に繋がるよう、購買意欲の高い視聴者を狙って配信できるのが特徴です。
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングとは、広告配信の「場所」を軸に設定できるターゲティングです。
指定のキーワードやジャンルに関連した動画やチャンネル、WEBサイトに配信します。
以下の項目で選択することができます。
(参照:YouTubeヘルプ 動画キャンペーンのターゲティングについて)
「プレースメント」を指定するには、すでに効果を上げているYouTube動画やチャンネル、WEBサイトなどを調べておく必要があります。
「トピック」を使用すると、選択したトピックに関連した広範囲に向けて広告を発信しやすくなります。
コンテンツターゲティングは広範囲に配信が可能なため、認知度向上などを狙った活用ができます。
YouTube広告でターゲティングする際のポイント
ターゲティングは広告効果に大きく影響を与える可能性があります。YouTube広告のターゲティングを設定するポイントをご紹介します。
目的に合わせて選ぶ
目的は「認知」、「検討」、「行動」と大きく3つに分けることができ、目的によって必要なターゲティング設定が変わってきます。
「認知」が目的の場合、できるだけ多くの視聴者に見てもらう必要があるので、ターゲットを絞りすぎるのはおすすめではありません。
「ユーザー属性グループ」で年齢や性別、「アフィニティカテゴリ」で特定のトピックを選んでターゲティングしましょう。
「検討」が目的の場合、動画広告の視聴が商品検索をしたり、サイト訪問したりなどの行動を起こしてもらうことが重要です。
「カスタムインテントオーディエンス」で、広告と関連のあるキーワードを検索している人を対象に設定しましょう。
「行動」が目的の場合、商品購入や来店をしてもらうことが目的になります。
「購買意欲の高いオーディエンス」や「動画リマーケティング」を設定し、購入する可能性が高い視聴者に配信できるよう設定しましょう。
ターゲット像を具体的に想定する
商材の設定するターゲット像と視聴者に一致する悩みや共通点が多いほど、広告効果は高くなることが考えられます。
広告を見た視聴者に「それって私のことだ」と思わせることができると、広告視聴後のアクションが期待できます。
反対にターゲットの対象を広げすぎると、興味のない人にも配信されることになり、広告の無駄撃ちになりかねません。
広告を無駄にしないためには、効果的なターゲット層を選定しYouTube広告を配信する必要があります。
自社の商材で最も購買力のあるユーザーの年齢や性別、購買データなどを元に、ターゲット像を詳細に設定すると良いでしょう。
以下はターゲット像を想定する際の参考項目です。
- 年齢
- 性別
- 仕事、年収
- 趣味、習慣
- 家族構成
- インターネット利用状況、など
YouTube広告でターゲティングする際の注意点
ターゲティングの際の注意点をご紹介します。最初から最適な設定を行うのは難しいかもしれませんが、設定する前に参考にしてみてください。
配信先を細かく設定しすぎない
ターゲティングの設定は広すぎてもいけませんが、項目を細かく設定しすぎないことに注意しましょう。
細かく設定しすぎると配信先が激減してしまうこともあり、逆効果になりかねません。
また、配信先を絞りすぎてしまうと、コンバージョン単価(1件の成果に必要な広告のコスト)が高くなってしまうことも考えられます。
コンバージョン単価が上がると、広告の費用対効果が悪化してしまい、効率的な広告運用ではなくなってしまいます。
同じ視聴者に何度も見せない
「リマーケティング」を使うと、同じ視聴者に同じ広告を何度も配信することになります。一定期間内に同じ広告が何度も配信されると、視聴者に不快感やネガティブな印象を与えてしまうことになり、嫌われてしまうことがあるので注意が必要です。
そこでリマーケティングを選ぶ際は、Googleの「フリークエンシーキャップ」を使って配信頻度をコントロールをしましょう。
フリークエンシーキャップは、ディスプレイ広告や動画広告が同じユーザーに表示される回数を制限する機能で、一定期間1人に対して表示する回数を設定することができます。
リマーケティングの設定とセットで覚えておくと良いでしょう。
詳細はこちら → フリークエンシー キャップを設定する – ディスプレイ&ビデオ 360 ヘルプ
YouTube広告でのターゲティング成功事例
YouTube広告の配信で効果的なターゲティングが設定でき、成功した事例を2つご紹介します。
どちらもターゲット層に見合ったターゲティング設定を行い、広告配信行ったことが成功の要因と言えるでしょう。
株式会社明治「ザ・チョコレート」
株式会社明治は、2018年2月のバレンタインデーで「バレンタイン施策」をYouTube広告で展開しました。
「バレンタイン施策」ではザ・チョコレートの認知、拡散、共感を促すことを目的に、「バレンタインデーそのものの訴求」と「誰かにプレゼントしたいという気持ちを高めるギフトの訴求」を施策の中心に据えました。
「チョコレートこだわり層」と「購入意向の強い層」にセグメント設定し、いずれに対してもTrueView広告を配信し、次にバンパー広告を配信しています。
まず30秒のTrueView広告でパッケージの強さを印象づけ、認知を高めることを狙いました。
従来の明治の動画広告ではタレントを起用することが多かったとのことですが、この施策ではあえてデザイン性のあるパッケージを主人公にしたクリエイティブにしたようです。
その後、リマインドを兼ねたバンパー広告で、パッケージの色ごとに違う8パターンのメッセージを添えて、「バレンタインに明治ザ・チョコレート」のナレーションとともにギフトを贈る気持ちを伝えました。
株式会社明治の施策結果は以下になります。
<バレンタイン訴求>
YouTube TrueViewインストリーム
視聴率:34%
視聴単価:6円 (配信初期段階は3円)
サーチリフト(The chocolateザ・チョコレートザチョコなど):451%
<ギフト訴求>
YouTube バンパー広告
リーチ:426万人
サーチリフト(The chocolateザ・チョコレートザチョコなど):125%
購入意向(The chocolateザ・チョコレートザチョコなど):6.3%
(参照:Think with Google「伝えたい人に届く。効く。YouTube — 明治 ザ・チョコレートの事例から」)
エーザイ株式会社「チョコラBBローヤル2」
口内炎や肌荒れのためのビタミン剤で有名な「チョコラBB」ブランドを持つ、エーザイ株式会社が行ったYouTube広告施策です。
動画広告(TrueViewインストリーム広告)の配信前に、Googleのリーチシミュレーションツールを使いました。
このツールを使い、テレビCMに加えてオンライン動画広告を配信することで、ターゲット層の30代~50代女性への純増リーチが見込めることを確認し、2段階に分けた施策を行ったようです。
第1段階ではオーディエンスターゲティング設定を活用し、配信先を女性若年層の中でも美容意識が高く、商品に関連性の高い層に広告配信を行いました。
第2段階では、顧客像に合わせてクリエイティブを作り分け配信したことで、ブランド効果測定に大きく効果が出たと確認されたようです。
エーザイ株式会社の施策結果は以下になります。
検索数:915%
ターゲット層へのリーチが前回の約3倍
リーチ単価も6分の1に減少
(参照:Think with Google「オンライン専用動画広告で効率良くリーチを広げ、商品売上拡大につなげる – エーザイ ビデオ」)
まとめ
YouTube広告のターゲティングは、人を軸にした「オーディエンスターゲティング」と、配信場所を軸にした「コンテンツターゲティング」を、広告の目的によって使い分ける必要があります。
ターゲティングで注意するポイントは、配信先を細かく設定しすぎないことや同じ視聴者に何度も見せないようにすることです。
広告効果を出すためには、目的やターゲット像を具体的に想定しておかなければ最適な設定は難しいので、広告運用を始める前にしっかり練っておくと良いでしょう。
YouTube広告が適切な視聴者へ効率的にリーチできるように、ターゲティング機能を活用してみてください。