ソーシャルリスニングとは?YouTubeでの分析方法から事例まで紹介
目次
現代においてSNSはもはや欠かせないツールとなっており、多くの人が日常的に利用しています。
何らかの商品を購入する際にもSNSで検索して検討したり、購入後も商品やブランドについてSNSでコメントしたりするのが当たり前になりつつあります。
企業にとっては、これらのSNS上でユーザーのやり取りを商品開発や販促に活かしていく「ソーシャルリスニング」が、今後はますます重要になってくるでしょう。
そこで今回は、YouTubeでソーシャルリスニングを行う分析方法や実際の事例を中心にご紹介します。
ソーシャルリスニングとは
ソーシャルリスニングとは、TwitterやInstagram、YouTubeなどのSNSに加え、ブログや口コミサイトなどのユーザーの声を収集して、企業が商品開発や販促に活かしていくことです。
従来もアンケートのような方法でユーザーの声を集めるといった市場調査は行われていましたが、SNSなどで誰もが簡単に情報発信ができるようになった現在では、ソーシャルリスニングが特に重要視されています。
ソーシャルリスニングがマーケティングで重要な理由
ソーシャルリスニングがマーケティングで重要な理由として、大きく以下の2点があります。
- 個人の情報発信力が高まっているため
- トレンドの移り変わりが激しくなっているため
それぞれについて解説していきます。
個人の情報発信力が高まっているため
誰もが気軽に情報発信ができる現在、インフルエンサーと呼ばれる人たちをはじめとして、個人の情報発信力が高まっています。
同時に、広告など企業からの発信だけでなく、SNSや口コミサイトなど個人の発信を参考に商品を購入するという人も多くなりました。
消費者庁が実施した調査では、20〜30代は約70%の人が口コミを参考にすると回答しています。
(参照:消費者庁「平成29年版消費者白書 第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状」より当社が独自に作成)
トレンドの移り変わりが激しくなっているため
昨今はトレンドの移り変わりが非常に激しくなってきています。
そのため、従来のように時間をかけて市場調査をしていると、施策に反映する頃には別のものがトレンドになっているということになりかねません。
可能な限りリアルタイムの情報を素早く収集し、スピード感を持って施策の実行に取り組むことが求められるようになっているのです。
ソーシャルリスニングを通してわかること
ソーシャルリスニングを通して得られる情報としては、大きく以下の4つがあります。
- プロモーション施策の効果測定
- リアルタイムのトレンド情報
- 消費者のリアルな意見
- 自社・競合のイメージ
それぞれについてご紹介していきます。
プロモーション効果の測定
YouTuberタイアップや広告運用などのプロモーション施策を実施した反響は、ソーシャルリスニングからも得ることができます。
数値で分析する定量的な分析に加え、消費者の声などの定性的な分析もプロモーションの効果測定をする際には非常に有効でしょう。
リアルタイムのトレンド情報
ソーシャルリスニングはSNS上での声などを収集するため、リアルタイムで話題になっているトレンドを素早くキャッチすることができます。
いち早くトレンドを把握し、自社の商品開発や販促に反映させることができるかが現代のマーケティングには重要となります。
消費者のリアルな意見
ソーシャルリスニングは企業側がアンケートなどを依頼しているわけではないので、バイアスのかかっていない消費者のリアルな意見を集めることができます。
企業側が想定していなかったような商品の使い方をした動画などがYouTubeに度々投稿されているので要チェックです。
競合の把握
自社の商品やブランドだけでなく、競合の情報も極めて重要な情報になるでしょう。
他社の商品やブランドのプロモーションの打ち出し方、それらに対する消費者の声などは自社の商品開発や販促に間違いなく活かすことができます。
ソーシャルリスニングのメリット
ソーシャルリスニングを行うことによって、大きく以下の2つのメリットがあります。
- 商品開発の参考になる
- オーガニック動画の投稿を増やせる
それぞれ実際の事例を交えながら解説していきます。
商品開発の参考になる
ソーシャルリスニングは自社の商品開発にも活かすことができます。
事例:かじるバターアイス
2020年末ごろからアイスに見せかけたバターを相方に食べさせるドッキリが流行りました。
また、2021年もHIKAKINをはじめとした大物YouTuberがバターを贅沢使いした企画の動画を投稿していました。
これらの風潮の中から、2021年2月に赤城乳業社から「かじるバターアイス」が発売され、店頭での品切れが相次ぐほど大流行になりました。
YouTubeからトレンドの兆候をキャッチし、商品開発に活かすことができた事例です。
オーガニック動画の投稿を増やせる
ソーシャルリスニングはオーガニック動画の投稿増加にも活かすことができます。
※オーガニック動画…企業提供ではない動画
オーガニック動画の投稿が活発になれば、広告を出稿しなくても自然に商品やブランドイメージを向上させることが可能です。
事例:SHEIN
オーガニック動画の企画で、中国系ファストファションブランドであるSHEINを実際に購入し、紹介する動画が流行しました。
1ヶ月間でSHEINの関連動画が100本以上公開され、ブランドや通販サイトの認知拡大に成功しました。
SHEINの認知拡大の成功要因の1つとして、タイアップ映えするような企画構成があります。
オーガニック動画でも投稿できそうな映え企画をタイアップで行うことにより、オーガニック動画の誘発に繋がりました。
【SHEINのオーガニック動画投稿本数】
ソーシャルリスニングの分析方法と成功のポイント
実際にソーシャルリスニングの分析方法の1例をご紹介します。
重要なポイントは、テキスト・動画の属性の異なる両媒体でトレンドをチェックすることです。
Twitterで「テキスト」でバズっているものをチェック
「話題を検索」→「トレンド」でリアルタイムで話題になっているトレンドを見ることができます。
RTキャンペーンやトンチキ企画などがバズっていることが多いです。
YouTubeで「動画」でバズっているものをチェック
YouTubeで流行っているものを見てみると、動画映えするような企画に注目が多く集まっていることがわかります。
しかし、YouTube上だけでトレンドを細かく検索することが非常に難しいのが現状です。
ソーシャルリスニングに活用できるツール
トレンドの把握が難しいYouTubeで、ソーシャルリスニングに活用できるツールとして「kamui tracker(カムイトラッカー)」があります。
kamui trackerは国内のYouTube情報を網羅しており、YouTube上でのトレンドを素早く、かつ詳細に把握することが可能です。
【kamui trackerのデータを活用してわかることの例】
・オーガニック動画の投稿件数
下のグラフはコンビニ各社のオーガニック動画の投稿件数ですが、毎月400〜600本ほどの動画が投稿されていることがわかります。
これらの動画の中では「コンビニスイーツ」が人気ジャンルとなっており、テーブル一面に並べてひたすら食べるような企画が多く見られました。
・トレンドワードの関連動画の投稿本数
下のグラフは「一番くじ×鬼滅の刃」の関連動画本数の年間推移です。
一番くじが実施されている期間は動画の投稿本数が多くなっており、「一番くじメイク」などの投稿も見られました。
注目されやすい動画の傾向
最後にソーシャルリスニングから得られた情報をもとに分析した、YouTubeで注目されやすい動画の傾向をご紹介します。
①ガチャ要素
代表的なものは、コンビニの一番くじや商品の開封動画です。
何が出るかわからない商品をクリエイターと楽しむ動画は人気企画となっています。
店頭キャンペーンなどに合わせてガチャ企画を組むなど、オーガニックにも汎用できる要素を入れることができるかがポイントになるでしょう。
②ドッキリ企画
もはやYouTubeでドッキリ企画は定番になっており、注目を最も集めやすいネタの1つと言えます。
汎用性が高いの企画ため、タイアップ動画を打ち出した後、オーガニック動画の増加も期待できます。
③アレンジ・化学反応系
メントスコーラや「〇〇で△△作ってみた」などのアレンジ・実験要素のある企画は非常に再生回数に繋がりやすいです。
見た目が映えるような、かつアレンジが可能な商品を使ってオーガニック動画にも汎用できる企画にすることが重要になります。
④話題のドラマなどとの連動
流行っているドラマやトレンドに合わせた企画は視聴されやすくなっています。
既存商品×流行のドラマなどと掛け合わせた企画でオーガニック動画や視聴者購入に繋げていくことができます。
まとめ
今回はYouTubeでソーシャルリスニングを活用する方法を中心にご紹介しました。
YouTubeでソーシャルリスニングを行うことの重要性を感じていただけたのではないでしょうか。
ぜひYouTubeでソーシャルリスニングを実践し、商品開発やマーケティング施策などに活かしてみてください。