YouTubeでは著作権違反に注意!|YouTubeが著作権に関するレポートを発表
目次
2021年12月にYouTubeは、著作権に関する第1回目のレポートを作成したことを発表しました。
YouTubeでは誰でも気軽に動画をアップできるため、ちょっとしたことでも著作権違反に該当してしまうことがあります。
著作権違反で法令に触れると裁判になったり、多額の損害賠償を求められたりすることもあり、知らなかったでは済まされません。
そのためクリエイターとして活動する上で著作権は、必ず理解しておかなければならないことです。
そこで今回はYouTubeが発表したレポートを紹介するとともに、著作権の違反警告を受けた場合の対処法、著作権違反をしないために注意すべきことをご紹介します。
YouTubeが「著作権透明性レポート」を発表
YouTubeが発表した「著作権透明性レポート」とは、どのような内容なのでしょうか。
おおまかにはYouTubeによる著作権管理の取り組みを紹介し、2021年1月~6月の間にあった著作権違反の通知件数や異議申し立て件数などの調査結果が掲載されています。
2021年上半期にはContent IDを通じて、著作権違反による削除依頼が7億2,200万件以上行われたそうです。
(参照:YouTube日本版公式ブログ「YouTube、初の「著作権透明性レポート」を公開」)
Content IDとは、著作権所有者が提出したファイルをYouTube独自の方法でデータ保存し、照合することができるシステムです。
YouTubeは今後、半年毎にこのような著作権透明性レポートを更新するとしています。
YouTubeの著作権保護に向けた取り組み
著作権所有者がYouTubeのコンテンツを管理するのに役立つツールを開発するために、これまでYouTubeは数億ドルを投資してきました。
著作権透明性レポートにも掲載されている、その取り組みについてご紹介します。
「Copyright Management Suite」で著作権違反の可能性があるコンテンツを検出する
「Copyright Management Suite」とはYouTubeが著作権を管理し、著作権違反の可能性があるコンテンツを検出するためのシステムです。
Copyright Management Suiteは、主に以下の3つのツールにより構成されています。
①ウェブフォーム
YouTube上の全てのユーザーが、誰でも利用できる申告ツールです。
頻繁に削除依頼を送信しないクリエイターや著作権所有者に利用されています。
②コピーライトマッチツール
YouTube上の動画と一致する、または一致する可能性がある動画を自動的に検出するツールです。有効な著作権違反による削除通知を送信したYouTubeユーザーなら誰でも利用できます。
第3者にコンテンツを再投稿されることが多く、頻繁に削除依頼を行う必要のある著作権所有者の利用が多いです。
③Content ID
前述したように、著作権所有者が提出したファイルをYouTube独自の方法でデータ保存し照合するシステムです。
YouTubeの著作権管理ツールでは、Content IDを使った違反通知が最も多くなっています。
Content IDを通じて著作権違反を申告した件数は、以下のグラフが示す通りYouTubeのすべての著作権アクションの99%以上に相当します。
(参照:YouTube日本版公式ブログ「YouTube、初の「著作権透明性レポート」を公開」)
続いて以下のグラフは、Content IDから送信された削除依頼に対して、「異議申立て」を行った人(Undisputed Content ID Claims)と行わなかった人(Disputed Claims)の割合を表しています。
「異議申し立て」とは、削除依頼が不当な処分であることを主張し、削除の取消を求めることです。異議申し立ての手順については後ほど解説します。
異議申し立てを行った人は全体のたった0.5%であることから、違反していると検出された動画のほとんどは削除されていることが分かります。
(参照:YouTube日本版公式ブログ「YouTube、初の「著作権透明性レポート」を公開」)
著作権ツールを悪用するユーザーへの対応
ウェブフォームを使えば、著作権者本人またはその正式な代理人なら誰でも著作権違反を申告できます。
しかし、本来著作権を持っていないユーザーが著作権を主張し、不正な削除依頼に悪用することが最近増えているようです。
2021年前半に公開ウェブフォームから削除をリクエストされた動画の8%以上が、著作権の不正な削除リクエストの対象でした。
(参照:YouTube「Copyright Transparency Report」)
YouTubeは著作権侵害による削除依頼ツールの悪用に対して、不正であると思われるリクエストや削除依頼を延期できるようにしています。
さらにもし虚偽の削除依頼を行った場合には、アカウント停止や法的問題に発展する可能性があることを示唆しており、安易なツールの利用は危険です。
(参照:YouTubeヘルプ「著作権侵害による削除依頼を送信する」)
YouTubeには著作権の削除リクエストの処理に専念するチームがあり、必要に応じて追加情報をリクエストするか、リクエストを完全に拒否するなどの対応が取られています。
YouTubeで著作権違反の警告を受けた場合
著作権違反の警告とは、著作権で保護されたコンテンツの使用について著作権所有者が正式かつ法的な削除依頼を提出したということです。
違反警告が出されると同時にYouTubeが動画を削除します。
ここでは、YouTubeで違反警告を受けた場合の措置と違反に心当たりがない場合の対処法をご紹介します。
著作権違反の警告を受けた場合の措置
1つの動画に対して著作権違反の警告が発せられるのは1回だけです。
著作権違反の警告を3回受けると、以下のペナルティが課せられるので注意してください。
- アカウントと関連付けられているチャンネルがすべて停止されます。
- アカウントにアップロードされたすべての動画が削除されます。
- 新しいチャンネルを作成することはできません。
(参照:YouTubeヘルプ「著作権侵害の警告に関する基礎知識」)
この他にも、収益化に影響が出るおそれやライブ配信の利用が7日間制限されることがあります。
初回の著作権違反の警告は事前警告として取り扱われ、コピーライトスクールを受講する必要があります。
コピーライトスクールとは、著作権とは何か、そしてYouTubeではどのように著作権が保護されているかについて学ぶための講座です。
ここで留意すべき点は、違反警告を受けた動画を削除しても違反警告は解除されないことです。
著作権違反の警告を解除する方法は、以下の3通りあります。
- 期限が切れるまで待つ: 著作権侵害の警告は 90 日で期限が切れます。初めての警告の場合は、コピーライト スクールを受講する必要があります。
- 撤回してもらう: 著作権侵害を申し立てた(削除依頼を提出した)人に、申し立てを撤回してもらうよう依頼できます。
- 異議申し立て通知を提出する: 動画が誤って削除されたと思われる場合、またはフェアユースとして認められると思われる場合は、異議申し立て通知を提出できます。
(参照:YouTubeヘルプ「著作権侵害の警告に関する基礎知識」)
違反に心当たりがない場合の対応方法
著作権の違反警告に心当たりがない場合は「異議申し立て」を行うことができます。
ただし、異議申し立てを行うことができるのは、動画でコンテンツを使用するために必要な権利をすべて所有している場合のみです。
異議申し立てを繰り返し行ったり、不正に行ったりするとペナルティが科される場合がありますので注意しましょう。
異議申し立ての手順はこちらです。
- YouTube Studioにログインします。
- 左側のメニューから [コンテンツ] を選択します。
- 異議申し立てを行う動画を探します。リストを絞り込むには、フィルタバーをクリックし、[著作権の申し立て] フィルタを選択します。
- [制限] 列で、[著作権の申し立て] にカーソルを合わせて [詳細を表示] をクリックします。
- [操作を選択] 次に [異議申し立て] をクリックします。
(参照:YouTubeヘルプ「Content ID に関する申し立てに対して異議申し立てを行う」)
YouTubeで著作権違反しないために注意するポイント
うっかり間違えてしまうことは誰にでもあり仕方のないことですが、違反警告をもらうと動画が視聴できなくなります。
著作権を確認する対応に追われたり、チャンネルのイメージが悪くなったりするので避けたいところです。
最後に動画制作の際、著作権違反にあたらないよう注意すべきポイントをご紹介します。
自分のオリジナルで撮影したものを使う
映画やマンガ、音楽、雑誌、ゲームなどのようにお金を払わなければ利用できないものを、許可を得ずに勝手に使用するのは著作権違反になります。
他人がSNSに投稿した動画や画像を勝手に流用することもNGです。
また、他のクリエイターで使用しているからという理由で使用するのも危険です。
そのクリエイターはちゃんと許可を取っている可能性があり、それは動画を見ただけでは分かりません。
他人が作ったものを利用せず、自分がオリジナルで撮影した動画を投稿するのが良いでしょう。
素材や音源は使用権が認められているものを使う
動画の中で使用しているBGMや音楽、効果音、イラスト、画像、テロップ(フォント)などは、フリー素材サイトを利用する方も多いでしょう。
フリー素材サイトとうたってはいても、中には商用利用不可と利用規約に書いてあることがあり注意が必要です。
必ず利用規約を確認してから使用してください。
YouTubeには著作権フリーのオーディオライブラリーが用意されているので、BGMや効果音に利用すると良いでしょう。
詳細はこちら → YouTubeオーディオライブラリー
まとめ
YouTubeは著作権を管理するシステムに投資を行い、そのシステムは日々進化しています。
Content IDを通した著作権違反の削除依頼が、たった半年で7億件以上も検出されていることからも分かるように、ちょっとした違反も見逃されることはないでしょう。
投稿者は他人が制作や投稿したものを利用せず、フリー素材を利用する場合は利用規約を必ず確認するようにしてください。
今回のレポートを参考に、著作権違反にならない動画を投稿していきましょう。