ゲームアプリのプロモーションに最適なマーケティング戦略とは?〜鍵はオンライン広告とマスメディアの使い分け〜
目次
ゲームアプリをプロモーションする方法には、オンライン広告を利用したものやTVCMを利用したものなどたくさんの方法がありますが、一つのメディアだけではなく様々なメディア・手法を組み合わせて段階的にプロモーションを展開していくことが大切になります。ちなみに結論から言いますと、プロモーションの種類・順番としてはアドネットワークやYouTuberとコラボしたプロモーションなどのWEBを使ったプロモーションから始めて、TVCMや交通広告などのオフラインのプロモーションへと移行していくのが成功しているゲームアプリのプロモーションの流れになります。
今回こちらの記事では、プロモーションプランを考える際の土台になっている「キャズム理論」についての説明と、オンライン広告とオフライン広告それぞれの種類や特徴、そしてプロモーションを実施する際に大切なポイントの3つについて詳しく説明していきます。
まずはプロモーションプランの全体像を把握してもらうために、プロモーションプランを設計する際の土台になる「キャズム理論」について説明していきます。
キャズム理論に沿ってプロモーションプランを整理してみよう
ゲームアプリなどの新しいハイテクな商品やサービスをリリースして、それを多くの人に広げていく際、キャズム理論という考え方に沿ってやるべきことを整理していくとプロモーションプランが立てやすくなります。ちなみにこのキャズム(chasm)とは「隔たり・溝」という意味になります。
キャズム理論とは?
革新的商品やサービスが市場でシェアを拡大する過程で、容易に超えがたい「溝」があるとする理論。顧客層全体を受容時期の早い順から五つの層に分け、このうち 13.5パーセントのアーリー-アダプター(初期採用者)と 34パーセントのアーリー-マジョリティー(前期追随者)の間に、普及を阻む「溝」があると考える。アメリカのマーケティング-コンサルタントのムーア( Geoffrey A. Moore )が 1991 年に提唱。
ちなみにこのキャズム理論は、ユーザーを5つの層に分けて段階的にプロモーションをおこなっていく「イノベーター理論」というものを前提に成立している理論になり、まずはプロモーションの初期段階でターゲットになるイノベーターとアーリーアダプターに絞って施策を展開していくことが重要とする考え方になります。
ちなみに5つのユーザー層は上の画像からもわかるように、「イノベーター(革新者)」「アーリーアダプター(初期採用者)」「アーリーマジョリティ(前期追随者)」「レイトマジョリティ(後期追随者)」「ラガード(遅滞者)」という風に分類されています。
- イノベーター(革新者):新しい技術に特に興味があり、リリースされてまもない商品やサービスを、いち早く早く試すことに貪欲なユーザー層のこと。全体のパーセンテージは2.5%程度ともっとも少ない。
- アーリーアダプター(初期採用者):イノベーターと同じように、新しい商品やサービスを早い段階で試すユーザー層のこと。全体のパーセンテージは13.5%
- アーリーマジョリティ(前期追随者):イノベーターやアーリーアダプターとは違って「新しさ」にはそこまで価値を感じておらず、利便性や実用性を重視するユーザー層のこと。全体のパーセンテージは34%と大きい。
- レイトマジョリティ(後期追随者):商品やサービスが広く認知されてしっかりと普及してから利用し始める堅実なユーザー層のこと。こちらの割合も大きく、全体のパーセンテージは34%。
- ラガード(遅滞者):商品やサービスを最後まで利用しない、もしくはかなり遅い段階で利用するもっとも保守的なユーザー層のこと。全体のパーセンテージは16%。
ここまでの内容をもう一度整理すると、
【イノベーター理論:】 イノベーター(革新者)とアーリーアダプター(初期採用者)に絞ってプロモーションを展開していくマーケティング。
【キャズム理論:】 アーリーアダプター(初期採用者)とアーリーマジョリティ(前期追随者)の間にできる溝を埋められるように、より多くの人にプロモーションを展開していくマーケティング。
このようにまとめることができます。
一番最初の項目で「WEBを使ったプロモーションから始めて、TVCMや交通広告などのオフラインのプロモーションへと移行していく」という流れが成功しているゲームアプリのプロモーションと説明しましたが、これはこの2つの理論に基づいてプロモーションを行なっている結果です。
プロモーション初期段階でターゲットになる、イノベーター(革新者)とアーリーアダプター(初期採用者)は、自ら進んで新しい情報を探すタイプになるので、WEBをつかったプロモーションは相性がいいですしWEBなら比較的低予算でプロモーションができます。まずは手堅くしっかりとゲームのファンになってくれるユーザーにアプローチしていき、しっかりと浸透していることが確認できたらユーザー層の溝を埋めてより大きくスケールさせるために大きな予算を使ってTVCMでプロモーションを行うというのが基本的な流れになります。
オンライン広告を使ったプロモーションについて
上で説明したようにゲームをプロモーションしていく初期段階は、オンライン広告をつかったプロモーションが中心になりますが、有効な手法は大きく「アドネットワーク」と「YouTuberを使ったプロモーション」の2つに分けられます。
アドネットワーク(Ad Network)とは
アドネットワークとは、WEBサイトやソーシャルメディア、そしてブログなど、WEB上の複数の媒体を集めてそれらにまとめて広告を配信する仕組みのことで、有名なものとしてGoogle AdsenseやYahooのディスプレイアドネットワークなどがあります。アドネットワークが登場するまでは効果の高い媒体を探すのはもちろんですが、探したそれぞれの媒体別に手続きが必要だったりと手間が多く発生していましたが、アドネットワークのおかげで業務の効率化ができるようになりました。ちなみにバナーなどの画像を使ったものだけでなく動画をつかって広告を配信することも可能です。
アドネットワークのメリット
- 複数の媒体にまとめて広告を出稿できる。
- インプレッション、CTR、そしてCVRなどのデータをまとめて見ることができる。
- 広告を配信する地域や曜日・時間帯などを細く設定した上で広告を配信することができる。
アドネットワークのデメリット
- 広告を出稿する具体的な媒体の選定が難しいため、意図していないメディアにも広告が出稿される可能性がある。
- GoogleAdsenseやYahooディスプレイアドネットワークの他にもたくさんのアドネットワークがあり、それぞれの種類に合わせた運用が必要になる。
YouTuberとコラボしたプロモーションについて
数百万規模の視聴者数を集めるYouTuberとコラボしてゲームの紹介を行うプロモーションも有効な方法です。上の画像のように、実際にゲーム商材とYouTuberがタイアップした事例は約50パーセントも増加していますし(kamui tracker調べ)、DMM.comラボでは「かんぱにガールズ」というゲームアプリのプロモーションを行う際にYouTuberとコラボする形でプロモーションを行い、効率よく良質なユーザーを獲得することに成功したというデータもあります。
YouTuberとコラボしたプロモーションのメリット
- 動画は伝えられる情報力が多いためPRしたい情報が他の手段よりも伝わりやすい。
- YouTubeと並行してTwitterやInstagramなどのSNSも利用しているため、より多くの人に情報を拡散してもらいやすい。
- ゲーム実況など特定のジャンルに絞って動画を投稿している人も多く、ファンの属性を把握しやすい。
YouTuberとコラボしたプロモーションのメリットについてはこちらの記事でより詳しく説明していますので参考にしてみてください。
YouTuberを使ったプロモーションを行う3つのメリットとは?
YouTuberとコラボしたプロモーションのデメリット
YouTuberとコラボしたプロモーションの一番のデメリットは、プロモーションを実施した後にPDCAサイクルを回すための手法がまだしっかりと確立されていないことです。複数の代理店やYouTuberにプロモーションを依頼した場合などは、効果を比較するのが難しく、時間も多くかかってしまいます。
kamui trackerではこのデメリットを解決するものとして、YouTuberとタイアップしたプロモーション動画の効果測定を簡単にレポート化して次の施策に生かすことができる「タイアップレポート」というサービスを提供しています。
kamui trackerは国内のYouTubeデータを独自にデータベース化しているため、手間をかけることなく1分で効果測定に必要なデータを取得することができます。視聴回数、コメント数、高評価数といったデータの他、1視聴あたりのコストなど費用対効果を出力します。費用に対してパフォーマンスの高い動画・クリエイターを判断することができるため、継続してプロモーションを発注すべきか中断・変更すべきか判断し、次のアクションへと繋げましょう。
TVCMをつかったプロモーションについて
テレビはすでにオワコンだという声もありますが、実はまだまだ影響力の強いメディアです。
確かにテレビを見る人の数と時間は減っていますが、1日あたりの全体接触時間に占める割合は上の画像のようにまだまだTVが大きく、ネットを中心に利用するユーザー層以外の人にもアプローチすることができるため、よりたくさんの人にアプリを「認知」してもらうことができます。
一番上のキャズム理論の箇所で、TVCMでプロモーションを行う一番の目的は、アーリーアダプターとアーリーマジョリティー層との溝を埋めて、ゲームアプリをより大きくスケールアップさせるためだと説明しましたが、アーリーマジョリティー層の人たちはWEBを使って能動的に情報収集するということがあまりないため、TVのように受動的に情報を受け取って認知してもらうメディアを使ってプロモーションを行うことが次のステップに進むために必要になるのです。実際上のデータからもTVCMを見てダウンロードする人がかなり多く存在していることがわかります。
プラスして「認知」という側面だけではなく、上の画像のようにメディアとしての信頼度もTVは圧倒的に高いため(新聞70.1% / テレビ65.5% / インターネット33.8% / 雑誌20.5%)、すでにWEBを通して知っているけれどダウンロードしていなかったものを、TVCMをきっかけにしてダウンロードするという「最後の決め手」としても機能していたり、リテンション(休眠・継続率を高める)としても効果があることが予想できます。
TVCMの効果を最大化するためには「オンラインとオフラインの融合」がポイントになる。
普段テレビを見ていると以前よりも確実にゲームアプリのTVCMの数が増えていることがわかりますが、TVCM単体の影響力の強さだけではなく、PCからスマホに利用環境がシフトしたことも、TVCMの本数が増えている要因の一つです。PCはPCのある場所までいかないと操作することができませんが、スマホは常に携帯しているものでTVを見ながらでも操作することができるからです。
つまり、言い換えると、スマホを使っていつでもどこでも簡単にWEBにアクセスできるようになったことからオフライン広告とオンライン広告のつながりがより太くなり、結果TVCMの効果がより大きいものになっているということです。よってTVCMなどオフラインの施策を展開している時に並行してオンラインの施策も進めなければユーザーの取りこぼしにつながってしまう事になり、いかにオンラインとオフラインの融合をできるかが、ゲームアプリのプロモーションを成功させるために大切なポイントになってきます。
例えばゲームをダウンロードしてもらうためにはTVCMを見てスマホでゲームを検索してダウンロードページにアクセスする、という一連の流れがスムーズにできることが必要になりますが、こういった状況を整えておくためには検索エンジン上で見つけやすいように表示順位を上げておくなど、SEO対策も大切になります。TVCMをきっかけにたくさんの人が認知して検索をしたとしてもゲームを見つけることができなければダウンロードにはつながりません。
まとめ
キャズム理論とそれを踏まえたプロモーションプラン全体の流れについて、そしてオンライン広告とオフライン広告の特徴と、両者を融合していく重要性について説明してきました。最後にもう一度重要なポイントを整理しておきますので、理解できていないポイントがないか確認してみましょう。
- WEBを使ったプロモーションから始めてTVCMや交通広告などのオフラインのプロモーションへと移行していくという流れが成功しているゲームアプリのプロモーション。これはイノベーター理論とキャズム理論に基づくもの。
- イノベーター理論:イノベーター(革新者)とアーリーアダプター(初期採用者)に絞ってプロモーションを展開していくマーケティング。
- キャズム理論:アーリーアダプター(初期採用者)とアーリーマジョリティ(前期追随者)の間にできる溝を埋められるように、より多くの人にプロモーションを展開していくマーケティング。
- ゲームアプリのオンラインのプロモーションで有効な手法は「アドネットワーク」と「YouTuberを使ったプロモーション」。
- ゲームアプリのダウンロード数をさらにスケールアップさせるためには受動的に情報を受け取るTVCMを使ったプロモーションが有効。またTVCMは最後の決め手としても機能するため、最後の決め手やリテンションとしても機能する。
- TVCMの効果を最大化するためには「オンラインとオフラインの融合」がポイントになる。