地元の魅力を効果的に伝える!YouTuberと自治体のタイアップ動画事例10選
目次
自分たちの街をPRして、観光客や移住者の興味を惹きつける動画を作成したいと考えている地方自治体や企業はとても多いですよね。確かにYouTube動画なら無料でアップデートして公開できるので、宣伝広告費が節約できます。
注目の自治体タイアップ動画をまとめてみました。ぜひ、動画作りの参考にしてみてください。
デートコースとして地域のおすすめスポットを紹介(埼玉県桶川市)
「地域を紹介したいけれど、とくに目を引くようなものがない……」という悩みをクリアできるのが、「デートスポットとして紹介する動画」です。
埼玉県桶川市は、上野や新宿からJRで40分ほどの場所に位置する埼玉県のベッドタウンです。都心へのアクセスは便利ですが、見どころになるような有名な史跡や自然があるわけではありません。
けれど、どんな街にも「デートするならここ」「ここは長時間いられる場所じゃないけど、ちょっと行ったら面白い」「素敵」という場所はあります。そんな視点から、「ここに遊びに行ったら楽しそう」と感じさせる動画がこちらです。
カップルが「桶川市でデートする」というコンセプトの動画で、水族館(高校の中にある無料の水族館)や極太麺のビジュアルに驚く地元の人気うどん屋を訪れます。ほかにも、インスタ映えする写真が撮れる古民家の資料館やカフェなど、デートスポットとして楽しめそうな場所を、実際にデートしながら紹介しています。
パンフレットだけでは伝わらない魅力も、動画なら「面白そう」「おいしそう」と興味を惹かれます。また、自治体の担当者が紹介するのではなく、どこにでもいそうな普通の若いカップルが紹介しているところもポイント。
普通さ、親近感があるので、若い世代や、普通のPR動画を見飽きた人もついつい見てしまいます。動画で桶川市を紹介しているカップルは「りなてぃん」と「ほくてぃん」というYouTuberカップル。
【埼玉県桶川市】写真📷撮ったり~カフェ🍴行ったりとデートしてきた♡
YouTuberに地元のグルメを紹介してもらう
どんなに素敵な動画を作ったとしても、見てもらえなければ意味がありません。そこで、再生回数を伸ばすためのアイデアとして、有名人に協力してもらうという方法があります。
テレビに出演しながらも、自分のYouTubeチャンネルを持っていてYouTuberとして活動している人もいます。また、テレビなどマスメディアには登場していないけれど、YouTubeでは高い人気を誇り多数のチャンネル登録者を持つYouTuberもいます。
フードファイターがグルメを紹介!(高知県宿毛市)
高知県宿毛市がタイアップした動画をアップしたのが、「ロシアン佐藤」。
ロシアン佐藤はフードファイターとして知られる有名人で、ご自身のチャンネルも持っています。彼女のチャンネル登録者数は、26万人。
ロシアン佐藤が2017年12月16日に公開した、宿毛市のグルメを紹介する動画「【大食い】超豪華!!トロリ♥絶品!!本マグロ丼&カツオたたき丼!!文旦・みかん・黒きびも!宿毛市食べ尽し♥【ロシアン佐藤 RussianSato】」は、公開後約3ヵ月で再生回数約18万回を記録。約2000のいいねも獲得しています。
動画の内容は、文旦やマグロ、カツオのたたきなどの宿毛市グルメを紹介しながらひたすら食べまくる!という内容。みごとな食べっぷりが圧巻です。そしてとてもおいしそう……
また、宿毛市の特産品のベスト「ハコベスト(防災用ベスト)」を着用して紹介したり、よさいの衣装に着替えて食事をしたりと、高知感満載!ちなみに動画で紹介した食材やベストは、すべて宿毛市にふるさと納税するともらえる返礼品。
動画の説明文には、宿毛市ふるさと納税サイトへのリンクが張られています。動画を見て「美味しそう……」と感じた人が、「宿毛市にふるさと納税してみようかな」とリンクをクリックする可能性も高いです。
【大食い】超豪華!!トロリ♥絶品!!本マグロ丼&カツオたたき丼!!文旦・みかん・黒きびも!宿毛市食べ尽し♥【ロシアン佐藤 RussianSato】
YouTuberを地元へ呼び、ロケ撮影
人気YouTuberに地元のグルメを紹介してもらうなら、地元に来てもらい、地元の風景も交えて紹介してもらうと、より視聴者の「行ってみたい感」を高めることができます。
グルメを中心に紹介(津山市・三重県)
先ほど紹介したロシアン佐藤と宿毛市の動画は室内で撮影されたもので、宿毛市の街並みや自然は動画内に写りません。しかし、津山市がタイアップした「木下ゆうか」の動画には、津山市を訪ね、街並みや公園を紹介する場面も含まれています。
木下ゆうかはフードファイターとして活躍していて、自身のYouTubeチャンネルも所有しています。チャンネル登録者数はなんと400万という人気YouTuberです。
2017年12月1日に公開された動画「【大食い】[肉天国]焼肉約3キロ20種類、津山ホルモンうどん、津山ロール食べまくり![15,000kcal超え]岡山県津山市【木下ゆうか】」は、2018年3月時点で、再生回数60万回突破。やはり人気者の力は偉大です。
動画では、木下ゆうかが津山市の古い街並みを紹介するところから始まります。地元の人気店「津山ホルモンうどん」店を訪れ、8玉分のホルモンうどんを食べながらレポート。津山市の観光スポットである衆楽園で、和菓子や洋菓子、さまざまなお菓子を紹介するなど、津山グルメを次々に食していきます。最後は津山城のふもとのショットで、食を中心に津山の魅力を伝えています。
木下ゆうかは、三重県とのタイアップ動画もアップしています。
伊勢木綿の浴衣で、おかげ横丁とおはらい町のおいしいものを食べまくるという内容。
横丁にあるお店の看板メニューを集め、木下ゆうかが食べながら感想を紹介。松坂牛やカキフライ、冷茶漬けなどを食べまくるほか、お店を訪問して食べる様子も。横山展望台からの眺めを紹介する場面もあり、「三重に行ってみたい!」という気持ちを煽ります。動画は2016年8月に公開され、約半年で78万回の再生回数を記録しています。
「うちの地元のおすすめは食!」という自治体は、動画を作るならフードファイターYouTuberの力を借りると、しっかりと魅力が伝わりそうです。たくさん食べられるうえに美味しさをしっかりレポートできる、フードファイターYouTuberを招待して動画を撮影してもらうのはいかがでしょうか。
【大食い】[肉天国]焼肉約3キロ20種類、津山ホルモンうどん、津山ロール食べまくり![15,000kcal超え]岡山県津山市【木下ゆうか】
【大食い】三重で絶品食旅!伊勢うどん、松阪牛ローストビーフ丼、海鮮、てこね寿司など全35品たべたよー!【木下ゆうか】
名所からグルメまで丸ごと紹介(兵庫県)
もちろん、フードファイター以外の人気YouTuberに地元を紹介してもらうのも有効です。
100万人を越えるチャンネル登録者を持つ「マスオ」の動画「○○自販機も?一泊二日兵庫大満喫ぶらり旅が最高だった!」は、公益社団法人ひょうごツーリズム協会がタイアップしており、兵庫県は初めて、というマスオが播磨地域を2日間にかけて旅する内容。
人気YouTuberだけあり、そうめん資料館や醤油の自動販売機、鉱山の中などを紹介する様子は、テレビの旅番組と変わらないクオリティです。しかもテレビより良いのは、決まった放送日時がないので、視聴者は自分が見たい時に見られるということ。一度アップロードすれば、動画が削除されない限り、たくさんの人の目に触れるチャンスがあるのです。
2017年9月末に公開された動画は、半年の間で約12万回再生されています。動画のコメント欄を見ると「芸人が出るテレビの旅番組よりおもしろい」というコメントがあり、それに対する「いいね」の数が50を超えていました。場合によってはテレビ番組よりも、YouTube動画のほうが視聴者の印象に残り、楽しませていることがわかります。
さらにコメント欄では、今回の動画で紹介していないエリアに住む兵庫県民から「次は○○市に来て!」というラブコールが多数書き込まれていました。「自分の地元を人気YouTuberに紹介して欲しい」と思っている人がとても多いのです。
コメント欄はラブコールだけでなく、多くの兵庫県民や兵庫県出身者の交流の場にもなりにぎわっています。自治体タイアップ動画は、その地域を知らない人へのアピールだけではなく、自治体の住民や出身者も楽しませる魅力を秘めているのです。
○○自販機も?一泊二日兵庫大満喫ぶらり旅が最高だった!
特定の分野に特化したYouTuberを活用
地元の名物や特産、アクティビティや見どころを紹介するなら、オールマイティな人気者よりも「そのジャンルの有名YouTuber」のほうが効果的な場合があります。
釣り好きにアプローチ!(佐賀県)
佐賀県とタイアップした動画を公開したのは、「釣りいろは」。人気の釣り人YouTuberです。南北を海に囲まれた佐賀県の魅力は、新鮮かつバラエティに富んだ海産物。釣りいろはが2018年3月6日に公開した動画「【マイナス55℃】3分で凍らせたイカを発見‼」は、3分で凍らせ細胞を生きたまま保つという、鮮度の高いイカの紹介でした。
いつもの釣りテーマの動画ではないのですが、動画の最初に、佐賀で釣れる魚や、市場のサービス、市場で売られているものの紹介などがあり「楽しそう!」と釣り人の心をくすぐります。
イカはすでにカットされてパックに入っているので、全国に送ることができます。イカを調理したことがない人でも、安心して受け取ることができるのがミソです。「佐賀に釣りに行って、このイカをお土産に……」と、釣り人の夢が広がります。
実際、動画を見た人のコメントを読むと「佐賀に行ってみたい」というコメントがいくつかあり、効果的に佐賀をアピールできていることが分かります。釣りいろはのチャンネル登録者数は25万。動画は公開後1週間で約11万回再生。
さらにこの動画には続編があり、続編では冷凍イカを実際に食べてもらい、冷凍だとわかるかどうかを試しています。
アウトドアアクティビティ好きにアプローチ!(福岡県北九州市)
さらに、釣りやアウトドア好きにはたまらない、こんなタイアップ動画もあります。
「釣りよかでしょう」というYouTuberチームが北九州市のタイアップで公開した動画「自分たちで獲った牡蠣を思う存分食べつくす!!」は、漁師と牡蠣漁をし、牡蠣を食べまくるという内容です。
釣りよかでしょうは、釣り好きのメンバーが、釣りをはじめ数々のアウトドアアクティビティを紹介する動画を公開し、チャンネル登録者は80万人を越えます。あるジャンルに特化したYouTuberに地元を紹介してもらうことで、釣り好き・アウトドア好きを狙ってアプローチできるのです。
動画では、牡蠣を捕るだけでなく、選別、洗う、磨くという、普段は見えない「こんな作業をするのか」というところまで紹介されています。なかなかできない体験ができる、とても珍しいアクティビティに興味がある人なら、目が離せない内容です。
もちろん、牡蠣を捕るだけでなく食べるところも重要。磨いたあとは、生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣鍋、牡蠣丼と、いろいろな方法で牡蠣を食べる様子も紹介されています。おいしそうに牡蠣を頬張る釣りよかでしょうのメンバーの姿に、「牡蠣が食べたい」「うらやましい」というコメントがずらりと並んでいます。
動画は2017年12月15日に公開され、95万回を越える再生回数を記録。牡蠣は北九州市のふるさと納税の返礼品になっており、動画の最後にその旨が紹介されています。動画の説明欄にもふるさと納税へのリンクが張ってあるので、釣りよかでしょうの動画で牡蠣が食べたくなった人が、「納税して牡蠣を貰おう!」とリンク先に跳んでくれる可能性も大きいですね。
自分たちで獲った牡蠣を思う存分食べつくす!!
アニメで紹介(杵築市)
動画には必ずしも有名人が登場する必要はありません。例えば、アニメや実写の動画を扱うチャンネルABTVnetworkの中に「カラフル家族」というシュールな家族アニメがあります。
カラフル家族に大分県杵築市がタイアップした動画「家族旅行♪大分県杵築市〜観光編〜【カラフル家族#36】」では、カラフル家族が杵築市の魅力、観光の仕方をシンプルに伝えています。
最近ではYouTubeを視聴する子どもも増えています。地元紹介動画を、可愛らしいアニメや、子どもに人気のキャラクターと協力して作成し、子どもにアプローチするという方法も有効です。
アプローチしたい視聴者層がつい気になってしまうような方法で動画の作成プランを練ってみましょう。
家族旅行♪大分県杵築市〜観光編〜【カラフル家族#36】
レシピ動画で紹介(鹿児島県曽於市)
DELISH KITCHEN – デリッシュキッチンの動画より
レシピ紹介チャンネルDELISH KITCHEN – デリッシュキッチンが鹿児島県曽於市のタイアップで公開したレシピ動画は、曽於市のふるさと納税返礼品である鹿児島黒牛を使ったステーキです。1分間の短い動画で、レシピチャンネルだけに調理方法と、おいしそうに焼けた肉を紹介しています。
人気YouTuberに頼める予算がない、という場合、こんな方法なら低予算での動画作成が可能です。
“柚子胡椒バター”で!曽於市特産鹿児島黒牛ステーキ | How to make Beef Steak of Kagoshima-Kuroushi
海外の自治体を日本に向けてPR(江原道)
日本人はもちろん、海外の人々に、観光地としてアピールしたいという自治体もあるのではないでしょうか。それなら、海外の人気YouTuberを招いて、紹介動画を作成してもらうという方法があります。
日本人のYouTuberが動画を作成して公開しても、基本的に見るのは日本人か日本に興味がある外国人、そのチャンネルの登録者です。しかし海外のYouTuberが紹介してくれれば、そのYouTuberの暮らす国の人々が見てくれます。まったく日本に興味がなかった、という人にもアプローチできるのです。
たとえば、江原道庁のタイアップでYouTuber「とぎもち」が公開した「【韓国】2018年 平昌オリンピックの開催場所が楽しい!!」という動画があります。とぎもちは香川県出身の日本人ですが、結婚で韓国に移住。韓国の食レポを中心とした動画を公開しています。
もちろん動画は日本語なので、韓国グルメや韓国が好きな日本人に人気のYouTuberです。そんなとぎもちが、平昌オリンピックの前に公開した動画が、平昌とオリンピック会場周辺の見どころを紹介するもの。
地元の人達とスンドゥブチゲ鍋の人気店に入る食レポや、ドラマの撮影場所にもなった人気スポット、オリンピック資料館の内部などを紹介しています。オリンピックが開催されるまでは平昌という地名すら知らなかったという人も「面白そう」と思える内容。
「KOREAとぎもち 토기모치」のチャンネル登録者は20万人。動画は2017年12月27日に公開され、2018年3月中旬の時点で公開回数約7万回です。テレビでオリンピックを見ているだけでは伝わらない、街の魅力が伝わってくる動画でした。
【韓国】2018年 平昌オリンピックの開催場所が楽しい!!
最後に
YouTubeに動画を公開し、たくさんの人に見てもらうには、チャンネル登録者数が多い人気YouTuberがアップする動画にタイアップするのが効果的です。また、アニメやレシピ動画でアプローチできる素材もあります。ぜひ、地元の魅力を動画で伝えてみて下さい!
(チャンネル登録者数・再生回数は、全て2018年3月14日のもの)