YouTube Kids新機能により、不適切動画は排除の方向へ
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子供向けアニメに見せかけ、グロテスクな動画やアダルトな要素を含んでいる動画「エルサゲート」がYouTube Kidsなどに投稿されて、問題になっていることをご存知でしょうか。YouTubeでは、これらの問題を解決すべくYouTube Kidsを更にカスタマイズする機能を実装するとのこと。その内容をご紹介します。
3つの新しいカスタマイズオプションとは
YouTube Kidsアプリが誕生したのは約3年前。子どもたちに安全にYouTubeを閲覧してもらい、動画を通して子供のためになる環境を作ることが狙いでした。しかし実際はどこまで規制できているのかというと、エルサゲートと呼ばれる動画が視聴できてしまうなど、まだまだ不安な面も多く存在します。
悪質な動画「エルサゲート」とは
エルサゲートの呼び名はアナと雪の女王に出てくる「エルサ」から来ています。ゲートというスキャンダルを意味する単語(ウォーターゲート事件が由来)がくっつきエルサゲートと呼ばれることになりました。なぜエルサなのかというと、エルサを題材にした動画にグロテスクな動画などの悪質なものが多かったからです。
具体的な内容を挙げると、サムネイルだけ見て「エルサの出てくる動画だ」と喜んで開いたら、実際はエルサがキャラに暴力やその他の不適切な行動をおこなっていた…というものです。
そこでYouTubeは4月26日、保護者向けにYouTube Kidsをカスタマイズする新しい機能を追加することを発表しました。主なカスタマイズは下記の3つです。
新カスタマイズオプション:信頼できるパートナーとYouTube Kidsによるコレクション
公式の説明によると、YouTube Kidsは図工、音楽、スポーツ、学習といったテーマから信頼できるチャンネルのコレクションを届けるように変更したそうです。保護者は子供に見せたいチャンネルやトピックのみを選択することができて、子供に見せる動画をより管理できる方向になりました。パートナーは今後も順次追加していくとのことです。
新カスタマイズオプション:保護者承認コンテンツ
2018年後半より導入される新機能がこの保護者承認コンテンツです。子供がYouTube Kidsアプリで動画を閲覧する場合、保護者が動画やチャンネルの視聴管理を選択できるようになるものです。YouTubeでは、自分の子に今なにを見せたいのか、見せたくないのかを最も理解しているのは親であるという考えのもと、保護者に選択を一任するシステムとのことです。
新カスタマイズオプション:検索オフ設定を改善して視聴の管理を強化する
YouTube Kidsアプリには子供が勝手に検索できないように、保護者が検索をオフにする機能がついています。しかし、従来では検索をオフにしてもおすすめ動画などが表示されることはありました。このため保護者が見せたくない動画が、おすすめ機能によって子供の目に触れる危険性が常について回っていました。
そこでYouTubeはこの設定機能を改善。検索機能をオフにした場合、表示されるチャンネルはYouTube Kids チームがちゃんと確認したものしか視聴できなくなりました。つまり、今までとは違っておすすめ動画やチャンネルは表示されなくなり、より健全な動画視聴ができる環境になっています。
エルサゲートで子供向けチャンネル離れが起きる懸念も
YouTube Kidsのカスタマイズ機能が強化されたことにより、キッズ向け動画の規制は今後ますます強くなると考えられています。これらの動きは子供向け動画を作るYouTuberにとって、動画を見てもらえるチャンスが減り収益面にも影響が出る可能性に繋がります。
規制強化で健全な動画環境を作るメリット
では、子供向けコンテンツに対する規制強化はしないほうがよいのかというと、そうではありません。規制を強化することにはメリットもあります。
たとえば、先述したエルサゲート問題。エルサゲート動画はタイトルやサムネイルからは、子供向けアニメや教育動画としか判断できません。そのため、クリックして動画を開くまで中身が子供に悪影響やトラウマを受け付ける不適切な動画であることがわかりません。
こういったものを放置しておくと「危ない動画があるからYouTubeで子供向け動画を見るのはやめよう」と、親はYouTubeそのものを子供に見せなくなってしまいます。
子供向けYouTubeの今後の動きに要注目
規制が強化されることで、YouTuberたちには動画を見てもらえなくなる懸念がついて回ります。現在のところ取れる対策は、子供にとって安全で有意義な動画を作り保護者から「これなら子供に見せてもいい」と思ってもらうことです。そうすれば今後も子供向けチャンネルや動画を見てもらうことは十分に可能となるでしょう。安全な動画作り+KIDS向けの規制の動きに注目しながら活動をしていきましょう。