VTuberを起用したBtoB向け動画プロモーション例
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2018年に入ってからバーチャルYouTuber(以下VTuber)と呼ばれる、3Dモデルを使用したYouTuberが爆発的に流行りだしました。「キズナアイ」が日本政府観光局の訪日促進アンバサダーに就任するなど、趣味の領域にとどまらない活躍を見せています。そんななか、すでに動画プロモーションでVTuberを起用しビジネス展開をおこなう企業が登場していることをご存知でしょうか。今回はBtoB企業に特化した、自社広報にVTuberを起用した実例を紹介します。
BtoB企業のPRに活用される動画プロモーション
2018年は世界のデジタル広告費がテレビの広告費を上回る年だと、2017年6月に電通が発表しました。
動画関連におけるデジタル広告は、大きく分けてふたつの手段があります。ひとつは、YouTubeなどの動画プラットフォームへ所定の形式で出稿する「動画広告」。そしてもうひとつは、YouTuberとのタイアップを行ったり自社で動画を作成することにより、動画の内容自体に自社製品PRを組みこむ「動画プロモーション」です。
なかでも動画プロモーションは目覚ましい急成長をとげています。自社製品の紹介やセミナー、顧客インタビューなどをまとめて「自社開発製品の導入事例」といったPR動画を作成しアップする企業も多く存在します。
YouTube動画プロモーションのメリットとは
動画プロモーションをYouTubeで配信する最大のメリットは、ユーザー数の多さです。YouTube公式ブログは2017年、YouTube月間ログインユーザーが15億人になったことを発表しました。これだけ多くの人の目に留まる環境にプロモーションを出すことは大きなメリットとなります。
BtoCだけでなくBtoBの場合も、誰かが自社のPR動画をYouTubeで見てビジネスに発展するという可能性が十分にあります。従来の文字や画像だけの広告の場合、文字だけで伝えるには説明が多くなり、画像では情報が限られるという欠点がありました。また、動画プラットフォームへ所定の形式で出稿する「動画広告」においても、視聴者によっては「見たい動画の視聴中に挿しこまれる余計な情報」ととられるケースもあり、場合によってはネガティブイメージに繋がってしまうというリスクがありました。
しかし、YouTuberとのタイアップや、あるいは自社で動画を作成し投稿する「動画プロモーション」では、映像で文字よりも具体的に多くの情報を届け、かつ視聴者が嫌がらない方法でPRを行うことができるため、非常に効果的とされています。
VTuberの導入事例
YouTubeを利用した動画プロモーションが増えていく中で、活躍しているYouTuberを宣伝に用いる例がどんどん増えています。そしてVTuberの流行りとともに、今度はVTuberが広告塔として起用されるようになりました。
今はまだBtoCで起用されることが多いですが、BtoBでもVTuberを取り入れる流れも出ています。実際にBtoB向けではどのようなものがあるのでしょうか。ここではVTuberを導入して自社PRをおこなっている例をあげてみましょう。
なお、これらのVTuberは一般的に「企業系VTuber」と呼ばれ、趣味で活動している人や企業に所属していないVTuberと区別されることが多いです。
パチスロ会社のVTuber「虹河ラキ」
こちらは山佐スロワールド(スロプラス)のサポーター虹河ラキ。山佐スロワールドはパチスロの会社です。サービスの宣伝をするべく作られた虹河ラキですが、2018年2月にはVTuberとして活動を始めました。
動画内容は会社PRではなくゲームをしたりいろいろな遊びに挑戦したりと、虹河ラキそのものの価値を高めて会社の宣伝に繋げるというタイプです。
代表取締役が自らVTuberに
「シテイルチャンネル part4 バーチャル狐の謎と壮大なる野望」より
企業が公式YouTubeチャンネルを立ち上げ宣伝動画を投稿することは珍しくありません。しかし社長自身がVTuberになりPRをするケースはまだまだ一般的ではないのが現状です。それを実践したのがソーシャルゲーム事業を手がける株式会社シテイル代表取締役社長の尾野政樹氏。社長がキツネのVTuberになり、自ら会社の広報をしている珍しいケースです。
シテイルはゲームを作る会社ということもあり、3Dモデルを作りVTuberになることそのものが会社の効果的な宣伝にも繋がっています。
顔出しが嫌でもPRできるメリットがある
株式会社シテイル社長が広報動画を作るに当たり、自分の顔を出さずわざわざ3Dモデルのバーチャルキツネを利用したことには理由があります。それは「海外ではCEOが顔出しすることもあるが、日本人は顔出し文化に慣れていない」という日本の文化に由来するものです。
社長が直接説明したいけど顔を出すのに抵抗がある、見る側も顔をいきなり出されても戸惑うという場合も。さらに社内でPR担当をする人が顔出しNGということもあります。しかし外部からPR担当をつれてくるのは、会社の方針や予算といったさまざまな条件によってできないことも多々あります。しかしバーチャルのお面を被ればそういった問題を一気に解決することができます。
会社の認知度やイメージアップへの手段に
VTuberのために3Dモデルを開発したり機材を揃えたりするには、かなりの費用がかかります。しかしそれ以上に自社の認知度やイメージ戦略に大きく貢献する力を持っているのがバーチャルという存在です。新たな動画プロモーションの手段を探している企業や、PR専用の人材を雇うことが難しい企業などは、VTuberを検討してみてはいかがでしょうか。