サッカーゲーム専門実況者「ちゃまくん」がeスポーツ界を変えていく【YouTuberインタビュー】
目次
サッカーゲームの実況に特化した動画で有名な、YouTuberちゃまくん(写真左)。
YouTubeのみならず、サッカー関連のイベントにも出演するなど活躍の場を広げている。
そしてちゃまくんの活躍にとって、YouTuber事務所in Motion社のサポートが重要な役割を果たしていた。
今回は、ちゃまくんのこれまでのストーリーと、eスポーツに対しての情熱、そしてin Motion社のサポート体制について、同社の黒田氏(写真右)とともにたっぷり語っていただいた。
サッカーゲーム専門のYouTuber
―― では、早速ですがお二人の自己紹介をお願いいたします。
ちゃまくん:「【サッカーゲーム専門チャンネル】ちゃまくん家ウイニングイレブン!FIFA!」を運営しております、ちゃまと申します。
黒田:株式会社in Motionの黒田と申します。弊社は自社でアプリを配信していたり、他社様のアプリのマーケティングの企画やコンサルティングなどを行なっている会社です。その一環でYouTuber事務所を立ち上げることになり、現在力を入れています。
―― 現在はどのような活動をなされているんですか?
ちゃまくん:サッカーゲームの「ウイニングイレブン」で世界大会に出ることを目標にプレーをしており、その過程をYouTubeチャンネルにアップしています。
また、日本国内でサッカーのeスポーツが流行っていくようにということも意識して頑張っています。
※eスポーツ:エレクトリック・スポーツの略で、複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲームをスポーツ・競技として捉える際の名称
―― eスポーツについて、お二人はどのように考えていますか?
黒田:eスポーツはここ最近、徐々に一般層への認知度も上がっており、日本国内で熱を帯び始めている領域です。ただ、まだまだ選手として独り立ちできている人が少ないことが、現状の問題点であると思っています。
―― 確かに、eスポーツという言葉は最近出てきたイメージです。
黒田:はい。弊社としては、ちゃまさんもそうですが、eスポーツやサッカーゲームに集中できるような環境作りをしていきたいと考えています。あとはeスポーツの選手を助けてあげたいという気持ちがあります。
と言いますのも、僕は前職で数年間サッカーゲームを担当しており、リアルなサッカーも好きなんです。
だから、子供たちがサッカー選手を目指すのと同じように、「eスポーツ選手になりたい」を夢として持てるような環境作りをしていきたいですね。
―― 実際それだけで、生計を立てられるレベルの人はどのくらいいるのですか?
黒田:ちゃまさんはYouTuberなのでまた別ですが、日本でeフットボール(※eスポーツのサッカージャンル)に関して言うと、ひとりもいないかもしれません。海外には何人かいますが。
―― なるほど。まだ生計を立てるのは難しいのですね。
ちゃまくん:そうなんです。
でも考えてみたら、野球選手とかって、野球が好きでそれを極めたら食べていけるかもしれないじゃないですか。だったら、ゲームが好きでずっとやっている人も、それで生計が立てられてもいいのではないかと思うんですね。
僕はそういう意味でも、僕なりにこの業界を盛り上げていきたいと思っています。
実際のスポーツにも通じるeスポーツの世界
―― eフットボールでプロになるには、何か才能などは必要なのでしょうか。
ちゃまくん:そうですね…やっぱりできない人はできないですね。
―― そうなんですね。
ちゃまくん:才能や育った環境もあるかもしれませんが、結局は努力ができるかどうかに懸かっているかもしれません。
ほとんどのプレイヤーはそこまで努力できないんですよね。
それが才能と言えば才能なのかもしれませんが、そこまでモチベーションを維持してできる人は少ないですね。
―― 日本人のeスポーツのレベルは高いのですか?
ちゃまくん:日本のトップレベルの人だと、ウイニングイレブンで世界4位になった「Mayageka(以下、まやげか)」さんがいます。
―― それはすごいですね。
ちゃまくん:僕は全然ダメなんですけど、国内の大会でこの間ベスト16になったくらいで。
―― 十分すごいですけど…。
ちゃまくん:それで、以前まやげかさんと僕でゲーム中に画面のどこを見ているかっていうのを専用の機械で調べたんですよ。
基本的に二人ともボールがあるところを見ているんですけど、まやげかさんはボールだけをずっと見ているんです。一方で僕はボール見ながら、走っている人とかを見ていて、要は視線を動かしているんですよね。
それでわかったのは、まやげかさんはボールだけ見ているのに、周りも見えているということだったんです。
こういうのはスポーツでいう身体能力にあたるところなのかもしれません。
―― 実際のスポーツと似たものを感じますね。
黒田:はい。ちなみにまやげかさんも弊社、in Motion所属なんです。
彼が言うには、例えばFPS系のゲームは反射神経が大事になるようですが、eフットボールは反射神経というよりも頭を使うゲームなので、年齢の高い人でも勝てるらしいです。
ちゃまくん:そういえばこの前、ヴィッセル神戸で現役でプレーしている三田選手と、ウイニングイレブンのオンラインで偶然当たりまして。
―― えー!それはすごい。
ちゃまくん:そしたらやっぱり瞬時の判断能力とかにめちゃくちゃ長けていて、ゲームのサッカーのみをやっている人に比べてすごくやりにくかったです。なので、実際のサッカーの経験も活きるんだなと思いました。
「嘘」をつきたくない
―― ちゃまさんがゲーム実況をする際に、意識していることはありますか?
ちゃまくん:ゲーム実況で意識していることは、嘘をつかないことですね。
変な話、再生回数を伸ばそうと思ったらある程度大げさなことを言えば伸びるんですよね。
だけど、それをやったところで、あんまり情報の意味がなかったり、釣り動画みたいになってしまったりするので、最終的にはファンを裏切ってしまうと思うんです。
僕はただ人気者になりたいわけではなくて、本心としては、日本のサッカーゲームのレベルを上げたいので、正しいことだけを言いたいなと思います。
―― 素敵です。
他のゲーム実況者と差別化している部分はあるんですか?
ちゃまくん:YouTubeって「喋りの間」がない方がいいって言われているので、例えばサッカーゲームであれば、「ゴールのシーンだけを集めたダイジェスト動画」がいいとなるはずなんです。
でも僕は動画の最初と最後だけ編集して、試合中は絶対に切らないっていうことを気をつけています。
―― それは、どうしてですか?
ちゃまくん:ゴール前だけじゃなくて、その前のボールの取り方によってゴールの仕方も変わってくるんですよ。あとは僕が意識していないところでも、観ている人は学びがあったりもするので。
黒田:ちゃまさんの動画で他のYouTuberさんと違うところは、動画を最初から最後まで観る人が圧倒的に多いということなんです。なのでエンゲージメントがすごい高いんです。
以前Google Japanの人に見てもらって言われたのですが、チャンネル登録者が60〜70万人規模の人のエンゲージメントと変わんないらしいんですよ。
それがちゃまさんのチャンネルの特徴ですね。
―― あえてカットしない編集というのは、先ほども話していた、ゲームを上手くなってほしいという思いにもつながっているのですか?
ちゃまくん:もちろんそうです。
すごく短期的に再生回数を上げることだけを考えたら目立つシーンだけ切り取った方がいいかもしれないですけど、それはしないようにしてます。
もともとはお笑い芸人
―― 去年キングコングの梶原さんがYouTubeでブレイクしましたが、もともとちゃまさんも「吉本」所属だったんですよね?
ちゃまくん:はい、実はそうなんです。
―― 何がきっかけで吉本に入ったのですか?
ちゃまくん:新喜劇が好きで、やりたかったんですけど、当時は「M1とってこそ芸人」みたいな若手の流れがあったので、それに馴染めませんでした。
そんなときに、吉本でインターネット関連の部署の人に、YouTubeを勧められました。それがYouTubeを始めたきっかけです。
―― 何年前くらいでしょうか。
ちゃまくん:5〜6年くらい前ですかね。
最初は何を投稿したらいいかわからなかったのですが、毎日投稿できそうな、サッカーゲームの実況してみようということになりました。
―― 芸人よりもYouTuberの方が合っている感じがしたのですか?
ちゃまくん:そうですね。ただ、吉本に対しても、とてもお世話になったのでできれば近い将来、何か恩返しをしたいなと思っています。
カジサックさんも言われていましたけど、芸人の新しい形、新しい稼ぎ方をYouTubeを使って何かお手伝いできればいいなと思っています。
in Motion 黒田氏との出会い
―― では、お二人が出会ったきっかけについて聞かせていただけますか?
黒田:僕も弊社の代表も、前職でサイバードというゲーム会社にいました。
代表は「バーコードフットボーラー(以下、BFB)」というサッカーゲームの責任者で、僕はその部下だったんです。
そのときに、ちゃまさんにYouTuberタイアップの案件で仕事の依頼をしていました。
BFBは彼の他にもいろんなYouTuberさんを起用していたのですが、サッカーゲームに特化しているちゃまさんが一番効果も良かったですし、一番中身を語れるんですよ。
なので、ちゃまさんのことはすごく覚えていました。
その後、in Motionを代表が創業して僕もジョインしたのですが、たまたまちゃまさんと共通の友人がいまして。それがきっかけで再会することになって、僕もサッカーが好きなので意気投合して…なんか彼女の話みたいになってますね(笑)
―― in Motionさん創業の前にすでに知り合っていたんですね。
黒田:はい。それで再会したときにちゃまさんに聞いたのが、YouTuberのキャスティングをするような代理店から、あまり案件が来ないということだったんですね。
大手の代理店はあまりサッカーゲームとか扱っていないみたいでして。
そういう話を聞いていくうちに、じゃあうちがなんとかしましょう、一緒にやりましょう、っていう話になっていったんです。
―― そうだったんですね。
ちゃまさんは最初黒田さんや、in Motionさんに対してどういう印象でしたか?
ちゃまくん:サッカーにとても詳しいなと思いましたね。あとは、当時他の会社からも仕事のオファーはあったのですが、なかなかうまくいってなくて。
そんな中in Motionさんはとても僕を理解してくれている会社だったので、一緒にお仕事をしていくことを決めました。
観ていて本当にうまくなるゲーム実況を
―― YouTubeを始めたての頃はどんな感じだったんですか?
ちゃまくん:ぶっちゃけ、0回再生数だと思っていたんですけど、20回くらいいって、20人ちゃんと観てくれているんだと思いましたね。動画をアップするたびに一日2〜3人づつ増えていったので、だったらいつかは1本あげたら1,000回とか2,000回になるかなっていうモチベーションでやっていました。
―― チャンネルを伸ばすために何か工夫したことはありますか?
ちゃまくん:教えないです(笑)
―― そこを何とか(笑)
ちゃまくん:いろいろありますけど、人ってたぶん、ストーリーが好きなんですよ。
観る側としても、ただ僕がうまいプレーをしてドヤっても、それは求められていないし、ただのゲームの攻略も求められていないと思います。
視聴者は基本的にストーリーが好きっていうのと、人と出会いたいっていう欲望があって、その2つを満たした感じですね。
―― 参考にしているゲーム実況者はいますか?
ちゃまくん:どっちかといえば映画とかを参考にしていますね。
―― 映画ですか!
そうですね。例えば、ホラー映画などは色っぽいなシーンから始まることがありますよね。
あれは「緊張と緩和」という演出なのですが、「緩和」シーンの後に怖いシーンなどに切り替わると、より一層怖さを増したりします。
そういう仕組みを動画にも活かして作れるんじゃないかと、意識することはありますね。
―― 黒田さんからは見ていて、ちゃまさんが伸びた秘訣は何かありますか?
黒田:最近僕もウイニングイレブンを始めたんです。それでちゃまさんの動画を観てたんですけど、本当に勉強になるんですよ(笑)
ウイニングイレブンをやってる人だとわかると思うのですが、他のサッカーゲームの実況者はノウハウ的なところをあまり教えてくれないんですが、ちゃまさんの動画は勉強になります。
あと気取ってないところがいいと思います、本当に寝起きとかで撮るんですよ(笑)
髪もボッサボサで、でもそういうところがみんから愛されるところなんだなと思いますね。
クリエイターの個性を尊重したい
―― in Motionはどんな会社なんですか?
黒田:in Motionはマーケティングの会社ですね。主な事業は3つあって、1つは自社でソーシャルゲームを出しています。「ねこ島日記」という女性向けのパズルゲームです。
2つ目は、他社のマーケティングのコンサルをやっています。僕たちは話題性を生むマーケティングプランが得意で、そこが各社さんからも評価されてリピートが多いですね。
そして3つ目がYouTuber事務所の運営です。
―― ちゃまさんはin Motionに入って何か変わったことはありますか?
ちゃまくん:自信が出ましたね。
今までいろんな事務所からお声掛けは来たんですけど、そこで言われるのが「ウイニングイレブンやめましょう」っていうことだったんです。「絶対伸びるんでマインクラフトやりましょう」「YouTubeってそういうことです」みたいな感じで言われて。
―― えーー!そうなんですか?
ちゃまくん:はい。僕はウイニングイレブンがやりたかったので断りました。in Motionはそこを尊重してくれたので嬉しかったです。
―― 黒田さんは、ちゃまさんがin Motionに所属してから、会社として良かったことはありますか?
黒田:サッカーゲームの会社さんには、ちゃまさんはすごく認知されているので、話が早いので助かっています。また、いろいろな企業様とお仕事をさせてもらえることも、ちゃまさんのおかげだと思っています。
―― ちゃまさんはin Motionに所属してよかったですか?
ちゃまくん:はい、よかったです。もちろん企業が絡んで仕事をする以上、自分のさじ加減だけで仕事をするわけにいかないので責任も生まれます。
でも、その方が成長しますし、いろいろ言ってくれる人が近くにいてくれるのはありがたいことですね。
実際に仕事も増えているので、in Motionにはとても感謝しています。
「ゲームと一緒に成長していける実況者が求められている」
―― YouTuberのマネジメントをするにあたって、何か気をつけていることはありますか?
黒田:in Motionの事務所としての特徴は、我々が、もともとゲーム会社にマーケターとして所属していたことなんですよね。ゲームの運営もやっていたので、裏側が全部わかっているんです。
今も自社アプリは、基本的にはゲーム内のキャンペーンは自分たちで考えていますし、マーケティングは僕がやっています。
そういう経験があるので、今どんなキャンペーンが必要で、どのように実行したらいいのかとかが全部わかるんです。
―― それは大きいですね。
なので、ただYouTuberをキャスティングするだけでなく、ゲーム会社さんと一緒になって、効果が出る施策を考えることができています。そこが弊社の特徴だと思います。
―― 伸びるクリエイターの条件は何だと思われますか?
黒田:今ゲーム会社がこぞって求めているのが、そのゲームに寄り添い、中長期的にゲームと一緒に成長していけるクリエイターさんですね。
もちろん大物のYouTuberさんを一発起用するのも効果はあるのですが、コストの問題もあったりします。
ゲーム会社によっては、そういう起用の仕方は難しいんですよね。
なので、ある程度のチャンネル登録者数は必要ですが、根本的なチャンネル登録者数が少なくても、本当にそのゲームが好きで、ずっとプレイし続けてYouTuberもゲームも成長し合えるようなクリエイターは、今後より求められると思います。
―― 本当にそのゲームやジャンルが好きでないと、継続的に配信を続けるのは難しいですよね。
黒田:そうですね、なので同じゲームをずっと続けている人は、チャンネル登録者は少なくても、今後ニーズが高まる可能性はあると思います。
―― ちゃまさんは実際に、今までどのような案件を受けてきましたか?
黒田:やはりサッカーゲームの案件が多いです。例えばセガさんの「サカつくRTW」とか「モバサカUFC」、「FIFAモバイル」などがあります。
イベント出演とかですと、よく「サッカーキング」さんとかと一緒にやらせていただいています。たとえば、「eJ.LEAGUE」のイベントですね。
あとは2018年のワールドカップのときに、日本対コロンビア戦を、Jリーガーの町田選手とまやげかの3人で一緒に観るイベントがあったんですけど、会場に入りきらないほど人が来ました。
―― そういったイベントにも出られているんですね。
案件の効果は実際どうですか?
黒田:継続率がいいということはよく言われますね。ちゃまさんのチャンネルはサッカーゲームが好きなユーザーにセグメントをしているので、コアな層に届いて高い継続率につながります。
―― 今後受けてみたい案件などはありますか?
やはり、プラットフォームは問わず、新しいサッカーゲームが出たら受けたいですね。
あとは意外とFPSゲームもプレイしているので、そういうオファーもいただきたいですね。
日本のeスポーツを盛り上げていきたい
―― お二人の目標を教えてください。
黒田:まだ日の目を見ていないけど、熱量のあるクリエイターを助けていきたいです。
YouTuber事務所を始めたきっかけも、本当にちゃまさんを助けたいというところから始まったので。
やはりin Motionの強みは、ゲームのことを理解している我々がマネジメントしているところだと思います。
チャンネル登録者は多くなくてもいいので、本当にゲームが好きな方や熱量がある方がいれば、僕たちは助けていきたいですし、そういった方を今後増やしていきたいです。また、他の事務所さんとは、どうもうまく行ってないなぁって方にも、ぜひお声がけいただきたいですね。
あとは、eフットボールのプレーヤーにもスポーツ選手と同じような権利が与えられるような環境づくりをしていきたいです。
ちゃまくん:僕は、今サッカーゲームに携わってご飯を食べていける人が配信者しかいないので、eスポーツ選手がゲームだけでご飯を食べていける環境を作っていきたいですね。
あとは、チャンネル登録者数を今年中に10万人いきたいと思っているのと、ファンの方々に直接会えるようなイベントもやっていきたいと思っています。
―― 最後にファンに一言お願いします。
ちゃまくん:サッカーゲームを盛り上げるために、何かできることはないかと考えながら、上手い下手を超えて、みんなで協力してサッカーゲームを盛り上げていきたいです。
これからも応援よろしくお願いいたします!
今回お話を伺って、ちゃまくんやin Motionさんが、とてもeスポーツ業界のことを考えながら日々の活動をされているということが伝わってきました。
また、in Motionさんは自社の強みを活かしながら、所属クリエイターさんのサポートをしてきたこともわかりました。
今後もeスポーツ業界を盛り上げていく、ちゃまくんとin Motionの取り組みから目が離せません。
今回は貴重な機会をいただき、ありがとうございました!
■in Motionでは、ちゃまくんに続く新たなクリエイターの募集を開始いたしました。
興味がある方は、下記のフォームよりご連絡ください。
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■YouTubeチャンネル:【サッカーゲーム専門チャンネル】ちゃまくん家ウイニングイレブン!FIFA!